2018 年 18 巻 9 号 p. 441-446
テラヘルツ(THz)分光,イメージングは,超短パルスレーザーを用いたテラヘルツ時間領域分光法(THz-TDS)を中心に,発達してきた。THz-TDSは,測定対象によっては,感度や空間分解能が不 十分であることが指摘されている。我々は,高感度化,高空間分解能化を目指して,近接場THz放射システムを開発した。また,一層の高感度化を目的に,メタマテリアル構造の作製と構造の最適化を行っている。 ポリジメチルシロキサン(PDMS)製の極薄フィルムにマイクロ流路を作製し,THzエミッターのGaAsに貼り付けたTHzチップを用い,GaAsにメタマテリアルを構成することにより,0.5 M以下のブドウ糖水溶液についてもTHzでの検量線を得ることができた。今後,さらに高感度化を進めることにより,THz分光は液体試料についても,従来法では得られなかった新しい物性情報を獲得できる検出方法として,期待される。