オレオサイエンス
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18 巻, 9 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
特集総説論文
  • 斗内 政吉
    2018 年18 巻9 号 p. 435-439
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/02
    ジャーナル フリー

    近年,周波数300 GHzから30 THzに位置するテラヘルツ電磁波は,新しいセンシングや情報通信などの分野で注目を浴び,研究開発が活発になってきた。本稿では,テラヘルツ電磁波科学技術の概要と最近の進展について,レビューする。特に,センシング分野では,化学・バイオ・医療検査・創薬ツールとして期待される分野で,新しい産業創成が期待されている。

  • 北岸 恵子, 芹田 和則
    2018 年18 巻9 号 p. 441-446
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/02
    ジャーナル フリー

    テラヘルツ(THz)分光,イメージングは,超短パルスレーザーを用いたテラヘルツ時間領域分光法(THz-TDS)を中心に,発達してきた。THz-TDSは,測定対象によっては,感度や空間分解能が不 十分であることが指摘されている。我々は,高感度化,高空間分解能化を目指して,近接場THz放射システムを開発した。また,一層の高感度化を目的に,メタマテリアル構造の作製と構造の最適化を行っている。 ポリジメチルシロキサン(PDMS)製の極薄フィルムにマイクロ流路を作製し,THzエミッターのGaAsに貼り付けたTHzチップを用い,GaAsにメタマテリアルを構成することにより,0.5 M以下のブドウ糖水溶液についてもTHzでの検量線を得ることができた。今後,さらに高感度化を進めることにより,THz分光は液体試料についても,従来法では得られなかった新しい物性情報を獲得できる検出方法として,期待される。

  • 小川 雄一
    2018 年18 巻9 号 p. 447-453
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/02
    ジャーナル フリー

    水分子はそのユニークな性質から,さまざまな生体反応に極めて重要な働きを持つことが知られている。特に水素結合を介した分子間の相互作用は多くの場面で働いているものの,それ自身を直接計測する手法は限定的である。本報では,テラヘルツ時間領域全反射減衰分光法と2界面モデルを組み合わせて,細胞単層の複素誘電率を決定する方法を提示する。0.25から3.5THzの間の純水およびHeLa細胞単層の複素誘電率は,水分子のデバイ型緩和およびローレンツ型振動ダイナミクスに由来し,遅い緩和,速い緩和および分子間伸縮振動の重ね合わせとして表すことができる。この解析方法を用いて,純水と細胞水との間に明確なダイナミクスの違いが確認できる。さらに,生体水の誘電緩和に着目したCMOSバイオセンサ集積回路を紹介する。このセンサは近接センサとして機能することができるので,その上に培養された細胞の誘電特性を評価した事例を紹介する。このような簡便なセンサは,サブテラヘルツ領域でのバイオアプリケーションを切り拓く可能性があると期待される。

  • 紀和 利彦
    2018 年18 巻9 号 p. 455-460
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/02
    ジャーナル フリー

    近年,テラヘルツ技術を用いた生体関連試料の計測が注目されている。その中で,テラヘルツ波ケミカル顕微鏡は,従来のテラヘルツ分光技術とは異なる技術であり,溶液中の様々な化学反応の可視可を実現した。本稿では,テラヘルツ波ケミカル顕微鏡の検出原理を解説した後,生体関連試料の非標識検出の例について示す。

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