2019 年 19 巻 11 号 p. 455-460
コロイド・微粒子分散系において,粒子間の流体力学的相互作用が,系の動的挙動・レオロジー特性に多大な影響を与えることは広く知られているが,これを解析的に扱うことは非常に困難である。数値シミュレーションは,それらを研究するための非常に強力なツールであり,これまで様々な数値手法が提案されてきた。本稿では,我々が開発した流体粒子ダイナミクス法の原理を説明するとともに,コロイド分散系の相分離現象の予測に応用した例を紹介する。この研究により,多体的流体力学的相互作用の重要性が示されるとともに,任意パラメータなしにコロイド分散系の動的挙動を予測可能なことが明らかになった。