2019 年 19 巻 2 号 p. 51-58
脂質など食品試料中の成分分析には,GC やLC,LC/MS が広く用いられている。一般的には,除タンパク,誘導体化など分析対象に応じて試料を前処理し,分析に供する。
近年,質量分析のイオン化法として,直接イオン化法,アンビエントイオン化法の研究が活発に行われている。そのイオン化法の一種であるDART(リアルタイム直接分析;Direct Analysis in Real Time)を用いた質量分析(DART-MS)では,ほとんどまたは全くサンプルの前処理を行うことなく食品試料を分析することができる。本稿では,DART-MS を用いた質量分析により各種脂質分析を行った事例を紹介する。