オレオサイエンス
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特集総説論文
睡眠と脂質代謝との関連
宮田 聖子野田 明子岩本 邦弘尾崎 紀夫
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2019 年 19 巻 7 号 p. 285-290

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抄録

睡眠は,代謝調節に重要な役割を果たし,睡眠障害は脂質代謝異常を来す。中でも睡眠呼吸障害は,脂質代謝異常,高血圧や糖尿病と密接に関わっており,心血管病の発症リスクを高めるとの証左が多い。近年,質量分析計を用い睡眠障害による脂質代謝異常の分子的なメカニズムを解明しようという試みがなされている。閉塞性睡眠時無呼吸患者において重症度と脂質分子種プロファイルが関連すること,睡眠時間制限によりいくつかの脂質分子種が変動することが報告されている。質量分析計を用いた脂質代謝産物の包括的解析は,睡眠 / 覚醒調節および関連する代謝プロセスの理解をさらに深め,代謝プロファイリングを利用することで病態および治療効果評価においてバイオマーカー探索に不可欠となると考えられている。本稿では,睡眠と脂質代謝異常との関連について疫学研究および質量分析による研究を紹介する。

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© 2019 公益社団法人 日本油化学会
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