2020 年 20 巻 11 号 p. 493-498
食品の外観は,食品のおいしさや鮮度,柔らかさなどを推定するための重要な情報である。我々は,食品の外観を自然に変化させるために,いくつかの画像処理技術を開発した。第一の手法は輝度分布操作(LDM)である。この手法により,食品のしっとり感や柔らかさなどの見た目を自然に修正できることを見出した。第二の方法は,Visual Texture Exchange(VTE)である。VTEでは,マグロからトロへ,ブラックコーヒーからカフェラテへなど,食品の見た目の質感をリアルタイムで変化させることができる。第三の方法は,元の食品画像から,油っぽい食品,乾燥した食品,焦げた食品,生の食品などを見た目で作成できる光沢/陰影フィルター制御(GSFO)である。このような画像処理手法と拡張現実技術を応用することで,食材の見た目だけを画像処理で変調させ,人工的に味をコントロールできることを示す。また,拡張現実(Augmented Reality)を用いて食品の外観を変化させることで塩味を変調させて減塩を実現するアプローチを紹介する。