オレオサイエンス
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特集総説論文
アルキル側鎖を持つ高分子ゲルの感温特性
徳山 英昭
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2022 年 22 巻 11 号 p. 551-554

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抄録

感温性ゲルとは,外部環境のわずかな温度変化に応答して形状や物理化学的特性が著しく変化するものである。様々なタイプの感温性ゲルがあるが,本稿では,アルキル側鎖を持つstearyl acrylate(SA)の高分子網目が油を吸収して膨潤したSAオルガノゲル,およびSAと親水性モノマーを共重合して水で膨潤したSA共重合ハイドロゲルの作製,感温特性,および応用を概説する。これらのゲルは,一般的なフリーラジカル重合により簡便に合成できる。基本的には両ゲルとも同様の感温性を示し,40℃程度を境に低温で硬化,高温で軟化する可逆的な変化を生じ,形状記憶性を持つ。この特性は,ステアリル側鎖の結晶アモルファス転移に起因している。SAオルガノゲルの薬物徐放材料としての応用についても紹介する。

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© 2022 公益社団法人 日本油化学会
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