2022 年 22 巻 3 号 p. 99-105
酵母にとって細胞表層は,生命維持に必要な要素を閉じ込めて自己と他者を隔てる境界面であると同時に,自己が外界の環境や他者と相互作用するための重要なインターフェイスでもある。そのため,細胞表層の機能性を操作し,外界との相互作用を自在にデザインできるようになれば,酵母細胞を物質生産や医療など様々な分野で活用することが可能になると期待される。本総説では,酵母の細胞表層の機能性を操作するための有望なツールである細胞表層工学(cell surface engineering)技術の概要と各分野における応用,およびその技術改良に関する近年の研究事例について概説する。