2022 年 22 巻 5 号 p. 219-226
Aerosol OT(以下,AOTという)と助界面活性剤と鉱物油の混合系における水の可溶化を検討した。可溶化水の状態を簡便かつ有効に評価する方法として濁度法が有用であった。鉱物油には炭素数10~12の長鎖炭化水素が適していた。長鎖炭化水素は逆ミセルの単分子層に浸透し難いために,単分子層の実効体積が増加せず,ミセルサイズは維持されると考えられる。また,助界面活性剤にはソルビタントリオレエート(以下,Span 85という)とソルビタンモノラウレート(以下,Span 20という)が適しており,両者では可溶化水量を増やす機構が異なると考えられた。Span 85はAOT分子の親油基に作用して逆ミセルの単分子層を厚くして鉱物油の浸透を抑えることによって,他方,Span 20はAOT分子と混合ミセルを形成してAOT分子の親水基間の静電的相互作用を弱めることによって,逆ミセルを大きく,かつ,安定化していると考えられる。