オレオサイエンス
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特集総説論文
高機能性化粧品素材の創製を指向したマンノシルエリスリトールリピッド(MEL)類縁体の合成と構造活性相関研究
孟 継坤戸嶋 一敦高橋 大介
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2024 年 24 巻 11 号 p. 475-481

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抄録

マンノシルエリスリトールリピッド類(MELs)は,4-O-β-D-マンノピラノシル-エリスリトール構造を基本骨格とし,2本の脂肪鎖を有する両親媒性分子である。これまでに当研究室では,マンノースの脂肪鎖長が異なる計20種類のS-MEL-A-D(C6,C8,C10,C12,C14)を系統的に合成し,肌荒れ改善活性に関する構造活性相関研究を行ってきた。その結果,C10の脂肪鎖長を有するS-MEL-A-Dが,表皮に浸透し,高い肌荒れ改善活性を発現することを明らかにしている。そこで本研究では,新たな高機能性化粧品(コスメシューティカル)素材の創出を目的とし,著者らが最近開発した芳香族ボリン酸触媒を用いた立体選択的β-マンノシル化反応と従来の隣接基関与を伴うグリコシル化反応を駆使することで,4種類の新規MEL類縁体としてR-MEL-A,S-マンノシルスレイトールリピッド(MTL)-A,R-MTL-A,およびα-S-MEL-Aをデザイン,合成した。その中でR-MTL-Aが最も優れたヒト上皮がん細胞選択毒性と肌荒れ改善活性を併せ持つ新たなコスメシューティカル素材として期待されることを見出した。以上の結果を最近報告したので,本総説において紹介する。

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