2024 年 24 巻 11 号 p. 483-490
ソホロリピッド(SL)は,優れた生産性と機能性を併せ持つ糖脂質型バイオサーファクタントとして世界的に産業利用が進められている。天然のSLは,従来から知られている酸型SL(ASL)とラクトン型SL(LSL)をはじめに,異なる構造と物性を持つ複数の誘導体の混合物として得られる。本研究で私たちは,SL誘導体の良溶媒であるメタノールを溶離液とする逆相高速液体クロマトグラフィー/質量分析を行うことで,全てのSL成分を漏らすことなく分析可能な成分分析法を確立した。本手法を利用することで,代表的なSL生産酵母であるStarmerella bombicolaの生産物中の全SL誘導体の含有量を正確に定量することに成功したことに加え,従来のASLやLSLとは異なる構造を持つこれまでに報告例のない様々な新規SL誘導体を発見した。