2024 年 24 巻 5 号 p. 205-210
近年,セルロースナノファイバー(CNF)をフィラーとした樹脂複合材料の開発が活発に行われている。特に自動車部品,家電部品に多く使用されるポリプロピレン(PP)との複合化に期待が集まっている。しかし,CNFとPPは言わば「水と油」の関係であり,CNFをPP中に均一分散させるための技術が必要である。当研究室では,ガラス繊維強化ポリプロピレン(GFRPP)やウッドプラスチック(WPC)等PP系複合材料に相溶化剤として添加される無水マレイン酸変性ポリプロピレン(MAPP)に注目し,MAPPのグラフト率,分子量を調製することにより,CNFに適したMAPPを用いたCNFマスターバッチの開発を行ってきた。
本稿では,CNF/PP複合材料中のCNF分散状態を確認するための方法,また,CNFの均一分散によって得られる効果について述べる。