オレオサイエンス
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24 巻, 5 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
特集序言
特集総説論文
  • 金井 典子, 川村 出
    2024 年24 巻5 号 p. 191-195
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/05/02
    ジャーナル フリー

    ナノスケールの固体微粒子を乳化安定剤として使用したピッカリングエマルションは,環境に優しい乳化技術として注目されている。植物細胞壁に含まれる高結晶性のセルロースをナノメートルサイズにサイズダウンしたセルロースナノファイバー(CNF)は,水中油滴型エマルションの天然由来の乳化安定剤として使用できる。現在,CNF原料として広く木材パルプが利用されているが,農業・食品廃棄物由来のCNFは木材由来と同等の品質でCNFが得られるため,廃棄物資源のアップサイクルが可能である。本稿では,農業・食品廃棄物由来CNFで安定化されたピッカリングエマルションの長期安定性評価,および磁気共鳴イメージングを使った緩和・拡散測定による不安定化メカニズムの解明について紹介する。農業・食品廃棄物由来CNFによる持続可能なピッカリングエマルションの開発は,サーキュラーエコノミーの構築に貢献する技術である。

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  • 藤田 克英
    2024 年24 巻5 号 p. 197-203
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/05/02
    ジャーナル フリー

    バイオマス由来の軽量かつ非常に強い素材であるセルロースナノファイバー(CNF)は,石油由来の素材に代わる可能性を秘めた素材として,さまざまな産業分野で期待が寄せられている。一方,CNFの普及が進むにつれて,その超微細な繊維状の形状などの物理化学的特性から,有害性について懸念が生じるようになった。特に製造段階において,作業員の吸入暴露管理を実施していくことは重要である。しかしながら,CNF吸入毒性についての試験報告は乏しく,その実態についてはこれまで不明な点も多く,また試験方法にも課題がいくつか残されている。本稿は,CNF製品開発の一助として,これまで実施したCNFの吸入毒性試験の結果を中心に,CNF暴露の潜在的影響についての知見をまとめたものである。

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  • 青木 憲治
    2024 年24 巻5 号 p. 205-210
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/05/02
    ジャーナル フリー

    近年,セルロースナノファイバー(CNF)をフィラーとした樹脂複合材料の開発が活発に行われている。特に自動車部品,家電部品に多く使用されるポリプロピレン(PP)との複合化に期待が集まっている。しかし,CNFとPPは言わば「水と油」の関係であり,CNFをPP中に均一分散させるための技術が必要である。当研究室では,ガラス繊維強化ポリプロピレン(GFRPP)やウッドプラスチック(WPC)等PP系複合材料に相溶化剤として添加される無水マレイン酸変性ポリプロピレン(MAPP)に注目し,MAPPのグラフト率,分子量を調製することにより,CNFに適したMAPPを用いたCNFマスターバッチの開発を行ってきた。
    本稿では,CNF/PP複合材料中のCNF分散状態を確認するための方法,また,CNFの均一分散によって得られる効果について述べる。

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新基礎講座
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