オレオサイエンス
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特集総説論文
大麦由来β-グルカンの肥満関連指標改善効果とその作用機序
青江 誠一郎
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2024 年 24 巻 9 号 p. 399-405

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抄録

β-グルカンを含む大麦を摂取したヒト介入試験では,1)食後血糖上昇の抑制,2)高コレステロール血症の男性における血清LDLコレステロール濃度の低下,3)内臓脂肪面積100cm2以上の男女における内臓脂肪面積の減少という肥満関連指標の改善が認められ,大麦摂取が肥満関連指標の改善に有効であることが実証された。動物実験では,β-グルカンの分子量に依存する大麦の消化吸収抑制と,腸内細菌による発酵産物である短鎖脂肪酸による糖・脂質代謝の改善がそのメカニズムと考えられた。大麦摂取による糖代謝の改善は,糖の吸収遅延やGLP-1などの消化管ホルモンによるところが大きく,遺伝子発現の変化によるものは少ないと推測された。一方,肝臓や血清中のコレステロール濃度の低下は,腸内発酵による短鎖脂肪酸の増加により,HMG-CoA還元酵素を含むコレステロール生合成に関わる遺伝子の発現レベルが抑制されたためではないかと推測された。

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