2025 年 25 巻 11 号 p. 495-502
フェロトーシスは鉄依存的に進行する細胞死機構であり,過剰な脂質過酸化を特徴とし,多くのヒト疾患や臓器病態への関与が示唆されている。しかし,脂質過酸化の評価には侵襲的な組織サンプリングを要するため,ヒトにおけるフェロトーシスの非侵襲的検出は極めて困難であった。
本研究では,oxidative volatolomicsを用いて,フェロトーシス過程で産生される揮発性酸化脂質(volatile oxidized lipids; VOLs)の包括的解析を行った。多価不飽和脂肪酸由来VOLsは鉄依存的脂質過酸化を介して生成され,フェロトーシスの進行に伴い細胞外へ放出された。これらのVOLsはアセトアミノフェン誘発性肝障害や代謝異常関連脂肪性肝炎(metabolic dysfunction-associated steatohepatitis; MASH)のマウス肝フェロトーシスにおいて特異的に生成され,さらにMASH患者の呼気中においても検出された。鉄依存的脂質過酸化により放出される特定のVOLsは,in vivoにおけるフェロトーシスの指標となり得るとともに,ヒトにおける細胞健康状態の非侵襲的モニタリングを可能にする呼気バイオマーカーとして今後の応用が期待される。