抄録
近年のソフトマター研究について, 凝縮系物理学の観点から概観する。ソフトマターに共通の性質は, メソスコピックな長さのスケールの存在であり, それが系の特徴を決定する上で重要な役割を果している。ソフトマターの一例として, 水, 油, 界面活性剤から成るマイクロエマルションを考察する。マイクロエマルションは熱力学的に安定で, 様々な相挙動を示すことが知られている。このような系を理解するために, 格子スピンモデル, ギンズブルグーランダウ理論, 膜の曲率弾性理論のような現象論的理論が重要であることを強調する。これらのすべての理論は, マイクロエマルションの基礎的性質を理解する上で役立っている。最後に, 高分子マイクロエマルションに関する最近の実験的および理論的進展について簡単にレビューする。