抄録
環状シリコーンは, シリコーン油の一般的な長所に加え, 様々な成分との混和性が良いことから, 工業的に重要な成分になっている。また, 洗浄剤中に配合すれば, 高分子量シリコーンなどを含む落ち難い汚れを落とすために重要な役割を演じることが期待できる。このとき界面活性剤の形成する自己組織体へ環状シリコーンを平衡的に取り込んで活用すれば, 会合体の特性がその機能に反映されるため興味深いと考えられる。本稿においては, 汎用的なPOEアルキル界面活性剤を用い, 環状シリコーンをエタノールの溶媒効果によりマイクロエマルション中に可溶化した結果について述べる。被可溶化挙動, 極性油添加の効果, さらにマイクロエマルションの構造と洗浄効果の関係について検討する。様々な新素材の登場とともに, その性能を最大に発揮させるための物性研究的視点からの開発もより重要性を増してくると思われる。この点から相平衡による会合体の最適化は, 良い方法であると考えられる。