抄録
再生可能な植物油から製造される軽油代替燃料 (バイオディーゼル) の利用は, 地球環境保全に多くのメリットをもたらす。石油由来の軽油に近い燃料特性を示すバイオディーゼルは, ディーゼルエンジンの改良なして利用することができる。しかし, 純粋なバイオディーゼル (B100) の利用は, 低温流動性およびトルクが低いことによってこれまで実用が危ぶまれてきた。また, この製造に係る基本的な化学反応は複雑なものではないが, 商業規模での生産での必須要件は, 品質を最も厳格に規定しているEU統一規格EN14214を満足させることである。
本開発研究では, 粗精製ヒマワリ油を燃料用メチルエステルに変換する連続製造プロセスの開発を目的とした。とくに, 本プロセス開発では, 製造方法およびプロセスによって大きく左右される残存グリセリドを低減させることに留意した。また, われわれが新たに開発した流動点降下剤についても紹介する。この開発によってバイオディーゼルの実用化は著しく高められた。