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特集総合論文
脱アシルリン脂質 : グリセロホスフォコリンの調製と中枢賦活機能剤の開発
日比野 英彦
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2007 年 7 巻 10 号 p. 399-411

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抄録

脱アシルリン脂質;グリセロホスフォコリン (GPC) はリン脂質の一種であるホスファチジルコリン (PC) より2個の脂肪酸を脱アシル化した水溶性化合物である。GPCはα-GPCとも呼ばれ, そして, それはコリン補給剤として医薬品や機能性食品に用いられている。アメリカ食品医薬品局 (FDA) はコリン含有の食品やダイエタリーサプリメントに栄養素含有強調表示を承認した。GPCはPCの消化過程の分解産物であり, それはリンパ管に吸収されるが, 一部は門脈に取込まれる。GPCは生体内に存在する物質であるので安全であり, 毒性テストでも安全性が確認された。GPCは末梢投与によって中枢神経系に取込まれ, そして, それは神経伝達物質 (Ach) 前駆体として作用し記憶能の改善に役立つ。GPCの中枢機能賦活効果としては, 脳血管障害の回復, 老人性痴呆症 (認知機能障害) の軽減, 学習能の改善, ノンREM睡眠の増加などの効果が検討されている。

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© 2007 公益社団法人 日本油化学会
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