理科教育学研究
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資料論文
食塩水をテーマとした出前実験教室の実践
―密度の異なる色付き食塩水を使った「虹」の作り方のポイント―
島村 裕子細谷 孝博増田 修一
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2019 年 60 巻 2 号 p. 465-471

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抄録

これまで我々は,平成23~30年の8年間にわたり,小学3~6年生を対象に,身近にある食塩水を用いて,「水溶液の濃さ,重さおよび密度」の関係を気付かせる学習展開を追究することをテーマに出前実験教室を開催してきた。本稿では,出前実験教室の内容を紹介し,小学校などで容易に実施できるよう,密度の異なる色付き食塩水を使った「虹」の作り方の詳細について解説する。本出前実験教室の成果は,以下の三点に要約することができる。(1)身近な「食塩」を使った実験を体験することで,児童の驚きや関心を導くことができた。(2)学習指導要領(理科編)には掲載されていない「濃さ,重さおよび密度」の関係に気付かせる学習展開を提案できた。(3)密度の異なる色付き食塩水を使った「虹」の作り方の最適条件を検討し,誰もが実践できる方法を見出した。以上のことを総合して,食塩水を用いた本実験は,理科の楽しさを体験でき,「濃さ,重さおよび密度」の関係に気付かせる教材として活用できることが示唆された。「食塩」のような生活に身近な題材を理科学習に取り込むことによって引き出される「やってみたい・理解したい」という意欲や疑問が今後の「理科離れ」の解消に寄与すると考えられる。

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© 2019 日本理科教育学会
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