大阪府立公衆衛生研究所 研究報告
Online ISSN : 2185-4076
ISSN-L : 1343-2923
52 巻
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  • 2014 年 52 巻 p. 1-6
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/07/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    大阪府ではウエストナイルウイルス(WNV)の侵入を監視する目的で、2003年度より媒介蚊のサーベイランス事業を実施している。また、死亡原因の不明なカラス死骸が2頭以上同一地点で見られた場合、それについてもWNVに対する検査を実施している。 2013年度は6月末から10月初めにかけて府内20カ所で蚊の捕集を行い、得られた雌の蚊についてWNV遺伝子の検出を試みた。捕集された蚊は8種5702匹で、そのうちアカイエカ群(45.1%)とヒトスジシマカ(48.8%)が大部分を占め、次いでコガタアカイエカ(5.8%)が多く採集された。その他にはシナハマダラカ、トウゴウヤブカ、キンパラナガハシカ、ヤマトヤブカ、オオクロヤブカが捕集された。定点別、種類別に384プールの蚊についてWNVの遺伝子検査を実施したが、すべての検体においてWNVは検出されなかった。また、2013年度中に当所へ搬入された死亡カラス12頭の脳についてWNVの遺伝子検査を行ったが、WNVは検出されなかった。
  • 2014 年 52 巻 p. 7-14
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/07/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    感染症発生動向調査事業に基づいて、五類定点把握感染症の病原体定点から大阪府立公衆衛生研究所には検体 が搬入される。本稿では、2013 年度に搬入された無菌性髄膜炎、手足口病およびヘルパンギーナと診断された患 者から採取された検体を対象に実施したエンテロウイルスに関する検査結果を総括する。全156 検体のうち、90検体(58%)からエンテロウイルスが検出された。各疾患における主要なウイルス血清型の検出割合は以下の通りである:無菌性髄膜炎では、Coxsackievirus B5 (CB5、5/25 症例、20%)、手足口病では、Coxsackievirus A6 (CA6、19/38 症例、50%)およびEnterovirus 71 (EV71、11/38 症例、29%)、ヘルパンギーナでは、Coxsackievirus A5 (CA5、4/15 症例、27%)およびCoxsackievirus A8 (CA8、4/15 症例、27%)。無菌性髄膜炎患者でCB5 が検出された5 症例中、4 例が生後1 カ月齢以下の患者であった。このうち2 例は生後1 週間以内の発症であったことから垂直感染が疑われた。手足口病はCA6 およびEV71 がシーズンの初めから最後まで検出される混合流行であった。CA6 とEV71の分離株についてviral protein 1 (VP1)領域に対する系統樹解析を実施した。その結果、分離されたCA6 の3 株全て、CA6 による手足口病が大流行した2011 シーズンの株よりも2012 年に中国で検出された株や2013 年にマレーシアで検出された株と近縁であった。また、分離されたEV71 のうち、遺伝子解析が実施できた5 株中4 株が大阪市、広島県、台湾で近年検出された株と近縁であった。2011 年シーズン以降、手足口病の原因ウイルスとしてCA6が主要な血清型の一つとなりつつあるが、EV71 と同様にCA6 も国内だけでなく近隣諸国との間で流行を形成する可能性が考えられた。
  • 2014 年 52 巻 p. 15-20
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/07/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    牛乳中の合成抗菌剤37種類の同時分析法を開発し妥当性評価を行った。アセトニトリルで抽出し、ヘキサン分配、遠心式フィルターろ過で精製を行い、高速液体クロマトグラフ-タンデム質量分析計(LC-MS/MS)で測定する簡便な分析法を構築した。この分析法の選択性、真度、精度、定量限界について評価したところ、国の示すガイドラインの目標値を満たす良好な結果が得られた。
  • 2014 年 52 巻 p. 21-26
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/07/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    合成抗菌剤41種類のアセトニトリル溶液を対象に、長期間保存した場合の安定性、ガラス及びポリプロピレン製容器への吸着性、光に対する安定性について検討した。その結果、-20℃で保存したアセトニトリル溶液、および4℃で保存した10%アセトニトリル溶液において、全ての化合物が1年間安定であること、また、キノロン剤の多くがガラスに吸着すること、さらに、キノロン剤とサルファ剤の一部が光照射下で分解することがわかった。これらのことから、今回検討した合成抗菌剤を取り扱う場合に、保存容器の材質と遮光に注意が必要であることが示された。
  • 2014 年 52 巻 p. 27-29
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/07/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    平成21年度から平成25年度までの5年間における特定原材料「小麦」および「えび・かに」を対象とした加工食品の検査結果についてまとめた。特定原材料「小麦」の検査では加工食品41検体のうち1検体、「えび・かに」の検査では加工食品48検体のうち3検体がそれぞれ陽性と判定された。
  • 2014 年 52 巻 p. 30-34
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/07/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    ウーロン茶葉中に含まれるインドキサカルブおよびフィプロニルの試験法について、検討を行った。厚生労働省が通知する一斉試験法(通知一斉試験法)で得られる試験液は精製が不十分であると考えられたことから、3種類の精製カラムを併用する改良試験法を検討した。妥当性評価ガイドラインに従い、LC-MS/MSおよびGC-MSを用いた分析法の真度、併行精度および室内精度を算出した結果、共に目標値を満たした。特に改良試験法では、通知一斉試験法の試験液で残存していた色素およびカフェインが除去されており、結果の信頼性を高めるために有効であると考えられた。
  • 2014 年 52 巻 p. 35-40
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/07/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    魚介類中のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤についてガスクロマトグラフ/タンデム質量分析計(GC-MS/MS)を用いて汚染実態調査を行った。その結果、複数の魚介類からUV-P、UV-326、UV-327およびUV-328が検出された。
  • 2014 年 52 巻 p. 41-43
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/07/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    平成25年7月2日に大阪府内の小学校で、授業にて栽培したヒョウタンを喫食した児童16名が腹痛、吐気、嘔吐等の食中毒症状を呈した。この食中毒の原因は、ヒョウタンに含まれる植物性自然毒の一種で苦み成分であるククルビタシン類であると考えられた。そこで、試料をアセトンで抽出し、液液分配で精製を行った後、ククルビタシン類の一種であるククルビタシンBを高速液体クロマトグラフィー/質量分析計(LC-MS)等を用いて分析した。その結果、検体のヒョウタンからククルビタシンBが検出され、食中毒の原因物質であると推定された。
  • 2014 年 52 巻 p. 44-48
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/07/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    平成13年度から平成25年度までの13年間の遺伝子組換え大豆RoundupReady Soybean(RRS)の検査結果をまとめた。遺伝子組換えに関する表示義務のない、もしくは「遺伝子組換えでない」等の任意表示のある大豆および大豆加工食品を検査対象とした。総検体数294のうち、RRS が検出された検体数は42、検査不能とした2検体を減じた総検体数に対するRRSが検出された検体の割合は14.4%であった。非遺伝子組換え大豆の分別生産流通管理の適切さの基準となる、5%を超えるRRSが混入した検体はなかった。
  • 2014 年 52 巻 p. 49-52
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/07/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    大阪府水道水質検査外部精度管理は、本府環境衛生課が公衆衛生研究所の協力を得て、府内の試験研究機関及び水道事業体を対象に実施している。平成23年度は有機物質項目として1,4-ジオキサンを対象項目とし、28機関から回答のあった32検査値を解析した。外れ値になった機関は1機関(全体の3.2%)であり、概ね良好な結果が得られた。外れ値になった機関に対してフォローアップを行ったところ、内部標準物質の自動添加装置に不良があり、サロゲートを使わずに定量していたことがわかった。また、検量線は1次回帰であったが、重み付け法で作成され、高濃度側において真の検量点との乖離を認めた。そこで重み付けを外し再計算すると、許容範囲に収まることがわかった。これらのことから、外れ値の原因はサロゲートの不使用及び検量線の作成ミスであることが判明した。
  • 2014 年 52 巻 p. 53-57
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/07/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    大阪府水道水質検査外部精度管理は、本府環境衛生課が公衆衛生研究所の協力を得て、府内の試験研究機関及び水道事業体を対象に実施している。平成24年度は有機物質項目として全有機炭素(TOC)の量を対象とした。38機関から回答のあった検査値を解析したところ、誤差率及びZスコアの両方が許容範囲を超えた「外れ値」はなく、良好な結果が得られた。添付資料を検証した結果、検量線に相当する補正に、機器で元来設定されている検量機能を使用している機関があった。告示に示された方法では、分析のたびに検量線を作成(補正)しなければならず、分析法を逸脱しないように留意する必要があった。
  • 2014 年 52 巻 p. 58-66
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/07/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    近年開発された電気浸透式汚泥脱水機は、その処理過程で汚泥が発熱することから、含まれている恐 れがある病原性微生物の不活化に効果が期待された。そこで大腸菌、腸球菌、枯草菌、大腸菌ファージ を指標微生物として、不活化におよぼす加熱温度と時間の関係を調べるとともに、実際に稼働している 脱水機の汚泥中の大腸菌や大腸菌群を測定した。 大腸菌は65℃以上であれば容易に不活化できるが、腸球菌や大腸菌ファージは大腸菌に比べ熱耐性が あった。枯草菌は80℃、5分の加熱でも全く不活化しなかった。稼働している脱水機の汚泥中では温度 上昇の不均一があるが、汚泥1g中の大腸菌数は-2log~-5log低減していた。
  • 2014 年 52 巻 p. 67-74
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/07/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    平成25年度の原子力規制庁委託(文部科学省より業務移管)により実施した大阪府における環境及び各種食品中放射能調査結果を報告する。調査は、降水中の全ベータ放射能測定、環境試料(降下物,大気浮遊じん,上水,海水,土壌,海底土)および各種食品試料中のガンマ線放出核種分析および空間放射線量率(モニタリングポスト)について実施した。 また、平成22年度より行っている、福島第1 原子力発電所の事故を受けたモニタリングの強化に伴い、3ヶ月ごとの蛇口水のガンマ線放出核種分析および1ヶ月ごとの地上1mにおけるサーベイメータによる空間放射線量率の測定を引き続き行った。
  • 2014 年 52 巻 p. 75-90
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/07/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    平成25年10月に、大阪市立環境科学研究所がこれまで実施してきた市民向け一日体験講座に共同参加する機会を得た。今後の当所における参考情報として、今回の体験講座の概要をまとめた。
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