竹中大工道具館研究紀要
Online ISSN : 2436-1453
Print ISSN : 0915-3683
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  • 松本 始, 本弓 省吾, 坂本 忠規
    2024 年 35 巻 p. 3-41
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/20
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    大工棟梁・九代竹中藤右衛門が手掛けた三重県鳥羽市の青峯山正福寺の本堂と大門の造営に関する調査研究成果を次の通り整理した。 1.  本堂、山門いずれも19世紀前半の建立で九代竹中藤右衛門が請け負った。廻船業者の寄付により、山中に似つかわしくなく大型で豪華な彫物を持つ。彫物は名古屋の一流彫物師複数が手掛けていた。 2.  展覧会向けに本堂上層三手先組物の実物大模型を製作するため、点群測量を利用した実測調査を実施し、変型状況を加味しながら創建寺の姿を推定した。 3.  本堂、山門の造営に現場棟梁として関与した中村九蔵の活動を追い、名古屋出身の中村が長期に渡る工事の末、現地に住み着きその後の大師堂や片田稲荷神社の造営に息子たちと関与したことを明らかにした。
  • 植村 昌子
    2024 年 35 巻 p. 43-59
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/20
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    大徳寺方丈にて17世紀前半の鑿が発見された。発見例の少ない近世初期の大工道具として貴重であり、目視観察およびマイクロフォーカスX線CT観察を実施した。調査の概要は以下の通りである。 1.  鑿は鉄製、木柄付き。全長233mm、刃幅6分弱(17.2mm)。刃先は薄い両刃で、首は断面長方形につくられている。茎なかご式で口金が付いている。 2.  X線CTの結果、鑿の金属部分の形状が明らかになった。金属部分の全長は169.65mm、茎の形は径8mmの四角錐形と判明した。茎の先端には2.56mmの腐食生成物が形成され、柄の亀裂の原因になっていると推察された。 3.  X線CTで金属部分を観察した結果、穂先は介在物の少ない組織の可能性が考えられた。首付近では表面と平行に0.2×4~7.2mmの介在物が複数確認された。
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