痛風と尿酸・核酸
Online ISSN : 2435-0095
47 巻, 1 号
痛風と尿酸・核酸
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
ご案内
総説
  • 市野 沙英, 岡本 研
    2023 年 47 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2023/07/25
    公開日: 2023/07/25
    ジャーナル フリー
    Xanthine oxidoreductase (XOR) is one of the major targets for urate-lowering drugs. Inhibition of XOR reduces uric acid production, resulting in anti-gout effects. Studies of XOR-inhibitor interactions have revealed factors important in binding to the enzyme. Many foods have been reported to have urate-lowering properties, and various plant origine flavonoids have been shown to inhibit XOR. However, the Ki values of these compounds are 104 times higher than those of febuxostat. The crystal structure of XOR bound to quercetin reveals a lack of hydrogen bonding between the nitrile group and the asparagine residue of the enzyme, which is essential for potent inhibitory activity. These findings are expected to contribute to the development of new XOR inhibitors using flavonoids as lead compounds.
原著 1
  • 嶋田 英敬
    2023 年 47 巻 1 号 p. 9-18
    発行日: 2023/07/25
    公開日: 2023/07/25
    ジャーナル フリー

    高尿酸血症に対してトピロキソスタットを24ヶ月以上投与されたeGFR 60 mL/min/1.73 m2未満の患者を対象として,血清尿酸値及びeGFRへの影響を後方視的に評価した.トピロキソスタット投与開始から12ヶ月以降の平均血清尿酸値が6 mg/dL以下の患者をLow UA群,それ以外をHigh UA群と定義した.61例が解析対象となった.Low UA群,High UA群いずれもeGFRには有意な変化を認めず,両群間のeGFR変化量(ΔeGFR)にも有意な差はなかった.投与前のGFR区分(G3a群, G3b群)では,いずれも血清尿酸値は有意に低下していた.GFR区分別のΔeGFRは,投与前平均血清尿酸値が5.79 mg/dLであったG3a群では有意な変化を認めなかったが,6.50 mg/dLであったG3b群では2.1 mL/min/1.73 m2の有意な上昇を認めた(p=0.043).トピロキソスタットの長期投与は血清尿酸値を有意に低下させており,血清尿酸値の管理レベルによるeGFRの差はみられなかったが,投与前血清尿酸値が高かったG3b群においてはeGFRの有意な上昇がみられた.eGFR 60 mL/min/1.73 m2未満で尿酸降下療法が不十分な高尿酸血症患者に対し,トピロキソスタットによる十分な尿酸降下療法を行うことは腎保護に繋がる可能性がある.

原著 2
  • 福内 友子, 小口 莉央, 三枝 大輔, 金子 希代子, 山岡 法子
    2023 年 47 巻 1 号 p. 19-27
    発行日: 2023/07/25
    公開日: 2023/07/25
    ジャーナル フリー

    母乳は,プリン体としてmicroRNAなどの核酸,ヌクレオチド,ヌクレオシド,尿酸を含んでいることが報告されている.特に,母乳は牛乳に比べて,多くの遊離ヌクレオチドを含んでおり,また,母乳中のヌクレオチドは消化管の免疫細胞を活性化する効果を有する準必須栄養素として,育児用調製ミルクへのヌクレオチドの添加が推奨されている.一方で,哺乳類の乳汁中にはキサンチンオキシダーゼが含まれており,生成物の尿酸が多く含まれていることが報告されているが,腸管における尿酸の明確な生理機能は見いだされておらず,乳汁中およびその製品中の尿酸の含有量についての報告は少ない.本研究では母乳あるいは育児用調製ミルク(粉ミルク,液体ミルク,固形ミルク)中における尿酸とその前駆物質であるプリン体(ヌクレオチド,ヌクレオシド,塩基)の含有量を明らかにすることを目的とした.結果として,ヌクレオチドは母乳よりも育児用調製ミルクに多く,製造中に分解されることなく,含有することが明らかになった.育児用調製ミルクと母乳ともに,他のプリン体分子種よりも比較的多く尿酸を含有しており,母乳の方が有意に多いことが明らかになった.ヌクレオチドのみではなく,各プリン体の腸管での機能も明らかになりつつあることから,本研究結果は,乳児期における人工栄養の組成を考える際に有用な情報となる.

原著 3
  • 藤森 新, 大山 博司, 諸見里 仁, 大山 恵子
    2023 年 47 巻 1 号 p. 29-34
    発行日: 2023/07/25
    公開日: 2023/07/25
    ジャーナル フリー

    痛風関節炎(発作)時にはサイトカインの影響で血清尿酸値が低下して高尿酸血症を呈さなくなる場合があることはよく知られているが,発作時を避けての検査で正尿酸血症の痛風患者の頻度がどの程度あるかの検討はほとんどされていない.痛風発作が改善してから実施するクリアランス検査結果を調べて,高尿酸血症を呈さない痛風患者がどの程度存在するか調査した.当院で5年間に2,536例(男性2,496例,女性40例)の痛風患者に対して行われたクリアランス検査の中で,高尿酸血症を呈さない痛風患者が264例(男性253例,女性11例)抽出された.多くは過去に高尿酸血症を指摘されて尿酸降下治療が行われた患者であったが,高尿酸血症を指摘されたことのない患者は20例(男性17例,女性3例)(0.8%)とごく少数であった.この中で16例に関節超音波検査で発作部位に尿酸塩結晶沈着が認められ,14例の患者に尿酸降下治療が行われていた.痛風の診断基準に合致する関節炎が起こった場合は,高尿酸血症が認められない場合でも関節超音波検査などで発作部位に尿酸塩結晶の有無を検討し,存在が確認された場合は尿酸降下治療を行う必要があると考えられた.

原著 4
  • 大山 博司, 大山 恵子, 諸見里 仁, 藤森 新
    2023 年 47 巻 1 号 p. 35-42
    発行日: 2023/07/25
    公開日: 2023/07/25
    ジャーナル フリー

    クリアランス検査によって混合型と診断された,腎機能低下の見られない44例の痛風・高尿酸血症患者を対象として,尿酸生成抑制薬と尿酸排泄促進薬の少量併用療法(トピロキソスタット20mg+ドチヌラド0.5mg)の有用性を,尿酸生成抑制薬単独療法(フェブキソスタット10mgあるいはトピロキソスタット40mg)と後方視的に比較検討した.少量併用群(14例)の血清尿酸値は9.4±1.0mg/dLから6.0±1.2mg/dLに有意に低下し,初回投与で6.0mg/dL以下の達成率は57.1%であった.フェブキソスタット10mg単独群(20例)とトピロキソスタット40mg単独群(10例)の血清尿酸値も,それぞれ9.8±1.4mg/dLから7.4±1.5mg/dL,8.8±1.1mg/dLから6.4±1.3mg/dLと有意に低下したが,6.0mg/dL以下の達成率はフェブキソスタット群15.0%,トピロキソスタット群40.0%と少量併用群と比較して低率であった.尿酸降下治療開始後の痛風発作に関しては,少量併用群では2例(14.3%)に見られたが,フェブキソスタット群の5例(25.0%),トピロキソスタット群の5例(50.0%)と比較すると低率であった.少量併用療法は治療効果が良好で,混合型が多いと推定される外来診療における高尿酸血症・痛風患者に対して薬物選択理由を説明する際にも理解の得られやすい治療法であると考えられた.

原著 5
  • 前田 真歩, 礒山 悠, 諸見里 仁, 大山 恵子, 大山 博司, 藤森 新
    2023 年 47 巻 1 号 p. 43-49
    発行日: 2023/07/25
    公開日: 2023/07/25
    ジャーナル フリー

    選択的尿酸再吸収阻害薬のドチヌラド服用によって血清尿酸値が6.0mg/dL以下を維持できている痛風患者53例を対象として,プリン体摂取量と1日尿中尿酸排泄量(UUA/gCR)の関係を検討した.当院オリジナルの,プリン体摂取量を点数化(8-19点)した簡易プリン体チェック表を用いて,管理栄養士が受診日前日のプリン体摂取量について聞き取り調査を行った.全患者のUUA/gCRの平均は615.3±257.0mg/gCrで,UUA/gCRはドチヌラド投与量とは相関がみられず(r=-0.007),プリン体摂取点数と弱いながらも正の相関(r=0.30)が認められた.尿酸排泄量高値群(UUA/gCR≧800mg/gCr)15例と中間群(UUA/gCR400-799mg/gCr)25例のプリン体摂取点数の平均はそれぞれ10.0±1.4点と9.8±1.8点で,尿酸排泄量低値群(UUA/gCR<400mg/gCr)13例の平均8.8±0.7点と比較して,有意に高値であった.ドチヌラド服用患者では,食事からのプリン体摂取量が多いと尿酸排泄量が多くなることが確認できた.

第56回日本痛風・尿酸核酸学会総会記録
ゲストレクチャー
feedback
Top