爬虫両棲類学雑誌
Online ISSN : 1883-4493
Print ISSN : 0285-3191
14 巻, 3 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 夜行性のカエルに対する待ち伏せ行動
    森 哲, 戸田 光彦, 門脇 正史, 森口 一
    1992 年 14 巻 3 号 p. 107-115
    発行日: 1992/06/30
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    シマヘビ,アオダイショウ,および,ヤマカガシは直射日光により体温を上げて餌を探しまわる昼行性の捕食者であることがこれまで報告されているが,今回,モリアオガエルの繁殖池で夜間に活動しているのが観察された.これらのヘビの夜間の季節活動のピークは,モリアオガエルの季節活動のピークとよく一致した.観察されたヘビのほとんどは樹の枝上で胴体前部をのばして頭部を幹または下方向に向け静止していた.これらのヘビは下顎または側頭部を幹の表面にぴったりと接していることが多かった.3種のヘビによるモリアオガエルの捕食行動は10例観察された.以上の事実から,これらのヘビは,繁殖期間中に樹の幹を日周活動の通り道に利用しているモリアオガエルを,この位置で“積極的に”待ち伏せしていることが示唆された.ヘビの捕食戦術に影響を与えている要因について考察した.
  • 岩澤 久彰, 柏倉 恵子, 佐藤 孝則
    1992 年 14 巻 3 号 p. 116-123
    発行日: 1992/06/30
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    冬眠期間を除いて毎月1回野外で採集したエゾサンショウウオを用いて,精巣,脂肪体,ウォルフ管の季節的変化を解剖・組織学的に観察した.5月上旬の繁殖池に入る直前の個体では,精巣小葉の一部で排精が始まりつつあった.生殖活動を終わって上陸した個体の精巣小葉の腔は空虚で,精原細胞の増殖が始まっていた.精子は8月に現れ,9月半ばではすべての精巣小葉で精子形成は終了していた.精巣は6月に最小,8月に最大で,その重量比は1:25であった.ウォルフ管の発達は繁殖期の入水前の個体でもっとも著しく,7月下旬の個体では糸状であった.
  • 仲地 明
    1992 年 14 巻 3 号 p. 124-128
    発行日: 1992/06/30
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    2群のタイワンスジオの孵化幼蛇を異なった餌条件下で1年間飼育した.A群(15個体)には初回の脱皮終了後より給餌し,B群(14個体)は孵化から2ヵ月間飢餓状態においた後に給餌を開始した.絶食期におけるB群の体重の減少は2.99%/週であった.B群の絶食期間中にA群は捕食・成長し頭胴長および体重でそれぞれB群の1.5倍および5.9倍となり,両群間に有意な成長差を確認した.しかし孵化より1年後に両群は等しい累積量の餌を摂取し,頭胴長ではA群が大きかったが,体重に成長差は認められなかった.両群の給餌期間中の月間捕食率および月間転換率はB群で有意に高い値が観察された.この結果は,飢餓期の存在がその後の捕食率および成長率に影響を与えることを示唆している.
  • 岩澤 久彰, 二上 順子
    1992 年 14 巻 3 号 p. 129-142
    発行日: 1992/06/30
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    Male and female specimens of Hyla japonica were collected from a paddy field in a suburb of Niigata City in the breeding season (May), and naturally spawned eggs were obtained in the laboratory. The eggs were ca. 1.3mm in diameter. The eggs and embryos were reared under a constant temperature of 24C, which is the average water temperature in the paddy field in this period. 4.4 days after fertilization, the formation of the operculum was completed, and the larvae began feeding. Thereafter the larvae were reared at room temperature (24-29C). They were fed a commercial diet for goldfish. The larvae of this species are a nektonic type in external appearance, and the labial teeth formula is 1:1+1/3. Under the present rearing conditions, the total length of full-grown larvae was 47mm on the average. The larvae metamorphosed at the age of 32 days, and the body length of newly metamorphosed frogs was 14.5mm on the average. According to Gosner's table (1960), the process of development from just after spawning till the completion of metamorphosis is divided into 46 stages. The external characteristics in each stage are described in tabular form in English, and illustrated with sketches.
  • 安川 雄一郎, 太田 英利, 疋田 努
    1992 年 14 巻 3 号 p. 143-159
    発行日: 1992/06/30
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    Geoemyda spengleriの2亜種,スペングラーヤマガメとリュウキュウヤマガメについて,多数の標本に基づく詳細な比較を初めて行った.その結果によれば,両者の間には著しい差異が存在しており,別種として扱うのが適当と思われる.また,近縁種との比較の結果は,両者が単系統群を構成することを示唆している.
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