本論文は日本の大学における第2外国語の中国語教育(以下「2外中国語」と略称)の重要性と,直面する問題点,及びその問題の解決方法について論ずる。社会や大学,さらには多くの中国語の教員でも,2外中国語は簡単で,中国人,又は専門が中国と少しでも関係ある日本人なら,誰でも教えられると軽く考える傾向にある。しかし,2外中国語は,大学教育において,学生の視野を広げ国際理解力を育成する重要な教養科目であり,中国語学習の人口が最も多い(年間約20万人)所でもある。それに,中国語専攻の大学院修了者の主な就職先でもあることから考えると,決して軽く考えることはできない。
残念ながら,社会も大学側も2外中国語を重視しない。現状では,授業の6割以上は非常勤に任せ,選択必修から外されたり,単位が削減され,専任教師だけではなく,非常勤講師も採用しなくなる大学が多くなっている。
これらの問題をどのように解決し,大学の2外中国語はどこに向かうべきか。社会,大学や学生の問題については,教師の力は及ばないが,教師自身については2外中国語教育に必要な専門知識(中国語,日本語,教育法,日中文化など)を磨くことによって,2外中国語の授業の質を少し改善できるのではないか。さらに中国語教育学会も,可能な限り研修プログラムを提供したり,共通の教学アウトラインや教授法の本を編集など教師へのサポートができるのではないかと提案する。
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