日本救急看護学会雑誌
Online ISSN : 2189-6771
Print ISSN : 1348-0928
ISSN-L : 2189-6771
15 巻, 2 号
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  • 家族と医師の話し合いのプロセス
    中村 美鈴, 村上 礼子, 清水 玲子
    2013 年 15 巻 2 号 p. 1-12
    発行日: 2013年
    公開日: 2017/04/05
    ジャーナル オープンアクセス
    目的:救急領域における延命治療の選択を意思決定する家族と医師との話し合いのプロセスとそれに伴う医師の考えや行動を明らかにし、家族への看護支援について示唆を得る。 研究方法:救急領域における延命治療の選択について家族と話し合いの体験のある医師を対象に半構造化面接法を行った。分析は内容分析を参考に行い、時間軸に沿って話し合いのプロセスを構造化した。 結果:医師9名、面接平均時間37分。病状の説明、延命治療の選択の話し合い、家族への対応等に関する記述182、〈サブカテゴリ〉42、【カテゴリ】19であった。家族と医師の話し合いのプロセスは、「回復が見込めないと判断した時は、意思決定の時期を察してもらえるよう早い段階で話をする」→「まずは回復の見込みが無い状況をありのままに説明する」→「次に延命治療について具体的な話をする」→「決定する治療は医師が想定し、もう回復が望めない状況を理解して家族が意思決定できるよう話を進める」→「最終決断では、さらに状況の理解を確認し、家族で話し合って決めてもらう」→「治療方針の決定後は基本的にそれ以上の話し合いはしない」であった。さらに、医師の考えや行動のカテゴリは話し合いのプロセスに関連して構造化された。 結論:家族と医師の話し合いのプロセスを踏まえ、看護師は話し合いに可能な限り同席し、家族に十分な情報提供のもと、患者の気持ちを尊重した家族の意思決定が図れるための看護支援や意思決定後の家族への看護支援の重要性が示唆された。
  • 祖父江 育子, 谷本 公重, 大橋 順子, 伊藤 進
    2013 年 15 巻 2 号 p. 13-22
    発行日: 2013年
    公開日: 2017/04/05
    ジャーナル オープンアクセス
    小児救急利用における軽症受診を明らかにするため、子ども数と出生順位で小児救急受診と子育て支援利用を探索的に分析した。 2009年1~3月、香川県の6歳以下の小児の保護者34,606名に、保護者の年代、家族形態、子ども数と、小児救急受診時の子どもの年齢、出生順位、症状、治療、子育て支援の利用について調査した。 小児救急受診児9,759名を、ひとりっ子1,723名、子ども2人(第1子1,723名、子ども2子1,777名) 、子ども3人(第1子362名、第2子549名、第3子895名)に分類した。「診察のみ」1,438名(17.8%)、「検査のみ」450名(5.6%) 、 「内服薬・座薬の処方のみ」3,492名(43.3%)、「点滴・吸入などの治療」1,070名(13.3%) 、 「入院」933名(11.6%)であった。救急受診はきょうだい数によって類似しており、ひとりっ子は病気による軽症受診、きょうだいのいる子どもは外傷による軽症受診の傾向を示した。出生順位の遅い子どもは、ひとりっ子よりも、やけど、異物誤飲・誤嚥が高率を示した。ひとりっ子の保護者は、子どもの救急、小児救急電話相談、病児・病後児保育の利用が高率で、共働きの核家族とひとり親が高率であった。本研究結果は、軽症での小児救急受診の原因探索として、子ども数、出生順位、家族形態による保護者の育児状況の探索が必要と示唆する。
  • 千明 政好, 片貝 智恵, 原田 竜三, 濱元 淳子, 山勢 博彰
    2013 年 15 巻 2 号 p. 23-30
    発行日: 2013年
    公開日: 2017/04/05
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、救急看護の基礎教育や現場教育および専門教育に生かすことを目的に、多くの看護技術や能力の質問紙調査から重要な項目を抽出することで、「ここ1~2年救急看護の現場で重要性が高まっていると思われる技術・能力」および、「救急看護に携わる救急看護師に現在不足している(今後強化したい)技術・能力」を具体的に明らかにすることである。 全国の500床以上の救急科標榜病院200施設の救急看護経験が3年目以上の看護師400名に、独自作成した質問紙調査をした。その結果、ここ1~2年救急看護の現場で重要性が高まっていると思われる技術・能力は、「JNTECの実践」 、「災害時のトリアージ能力」 、 「災害や外傷者のストレスマネージメント能力」の順に重要と認識しており上位は「救急関連技術」であった。救急看護に携わる看護師に現在不足している(今後強化したい)技術・能力では、 「災害や外傷者のストレスマネージメント能力」 、 「災害時のトリアージ能力」、「インフォームドコンセントを確実に実施する脳死患者・家族」、「災害訓練時のリーダーシップ」、「フィジカルアセスメント能力がある」であった。災害看護関連や救急看護関連の技術や能力ばかりではなく、フィジカルアセスメント、家族ケアなどの技術・能力が不足していると認識していた。
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