目的:救急・集中治療領域において予期せぬ患者の死を経験する家族への看護を構造化し、記述することを目的とした。
方法:救急・集中治療領域の看護師11名を対象に半構造化面接を行い、その内容をKJ法により図解化・叙述化した。
結果:家族への看護は【救命への尽力】【看護の可視化・言語化による受容促進】【そばに寄り添い・見守り・語りかける】【患者をめぐる家族の理解】【個別性に応じた柔軟な対応】【家族への患者情報の提供】【患者・家族間の交流促進】【臨終時の保清・環境・時間調整】【看護の難しさを踏まえた研鑽・他の看護者への協力要請】の島に収束した。島同士の関係性から、救急・集中治療領域において予期せぬ患者の死を経験する家族への看護は、重症患者を中核とした救命と終末期の狭間で、【救命への尽力】から、やがて訪れる臨終時の看護、すなわち【臨終時の保清・環境・時間調整】に至るまで、最善のケアに尽くす看護師としての誠意が家族に伝わることの重要性が浮き彫りとなった。
考察:看護師は【救命への尽力】という形で医療者の誠意が家族に伝わることにより、家族自身が患者の状況を受容できるようになるものと考えていた。救命が最優先される医療現場で、看護師として患者の予後を想定しながら終末期の看護を意図し、看護の難しさに直面しつつもチーム医療の中で自らが考える最善の看護に尽くしていた。
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