日本救急看護学会雑誌
Online ISSN : 2189-6771
Print ISSN : 1348-0928
ISSN-L : 2189-6771
16 巻, 2 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
  • 吉田 紀子, 中村 美鈴
    2014 年 16 巻 2 号 p. 1-12
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/04/05
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は、延命治療に関する家族の代理意思決定支援に関して、クリティカルケア熟練看護師が見出した家族の意思決定を支える看護実践を記述することにより、看護実践の示唆を得ることである。関東近郊の救命救急センター、ICU、CCUに勤務をしているクリティカルケア領域での経験年数が5年以上の看護師を研究協力者とした。データの収集方法は、半構造化面接法により、延命治療に間する家族の意思決定を支える看護実践についての語りをデータとした。面接で得られたデータから逐語録を作成し、データが組み込まれた文脈に関して再現可能で妥当な推論を行うKrippendorff(1980、三上ら訳1989)の手法を参考に、コード化し、意味内容の類似するまとまりごとに高次化する作業を繰り返し、カテゴリを導き出した。倫理的配慮は、研究者が所属する施設の研究倫理審査委員会の承認を得たうえで、研究目的と意義、調査内容、研究協力と途中辞退への自由意思の保証、調査データの匿名性と研究以外でデータを使用しないことの保証、研究公表の可能性に関する説明を口頭および文書にて説明して同意を得た。研究協力者は関東近郊の7施設の救命救急センター、集中治療室に勤務する看護師13名であった。研究協力者の看護師経験年数の平均は13.8±4.29年、クリティカル領域の経験年数の平均は12.2±3.29年であった。家族の意思決定を支える看護実践では【意思決定に関わる人々の間の関係性を育む】 、【意思決定に対峙する家族の準備を整える】 、【医療・看護チームのチーム力を高める】 、【家族の気持ちを後押しする】 、【意思決定プロセスの最後まで添い続ける】 、【家族の合意形成に向けて調整を図る】、の6カテゴリが導き出された。導き出された看護実践の特徴は、【医療・看護チームのチーム力を高める】 、【意思決定に関わる人々の間の関係性を育む】 、【家族の合意形成に向けて調整を図る】など意思決定に参加している人々の調和を図る役割と、【意思決定に対峙する家族の準備を整える】 、【意思決定プロセスの最後まで添い続ける】 、【家族の気持ちを後押しする】など家族の傍で伴走する役割であると考えられた。そして、熟練看護師たちの語りから導き出された、家族の代理意思決定を支える看護実践は、1つ1つの実践を重層的に折り重ねながら、それらの総和により家族の代理意思決定支援へと向かうという様相を示していた。
  • 初療経験1年目と5年目以上の看護師のインタビューから
    岩本 満美, 岩本 幹子, 高岡 勇子
    2014 年 16 巻 2 号 p. 13-22
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/04/05
    ジャーナル オープンアクセス
    目的:救急初療看護において、看護師の臨床経験により、臨床判断にどのような違いがあるかを明らかにする。方法:初療看護経験1年目の看護師3名と5年以上の看護師3名を対象とし、両者が初療室で同一患者をケアする10場面における搬入前準備から退室までの臨床判断に関して半構成的面接を実施し、質的帰納的に分析した。 結果:1年目の看護師は「搬入前情報からの限られた予測」から、「マニュアルや指導にそって準備」を行い、「固定化された観察」により「断片的なアセスメントによる短絡的な病態の判断」の結果、「次に行われる処置の予測」と「何かによりどころをもちながら処置に没頭」に追われ、「初療室の経過を記述して引き継ぐ」で終了し、後に「何が起きていたかを振り返り意味づける」を行っていた。5年以上の看護師は、「搬入前情報と経験をもとにあらゆる病態を予測した準備」を整え、「広い視野から優先される情報を焦点化させた観察」を行い、「病態を同定し優先される処置の判断」のもと、「効果的、効率的な手順を追求しながらも迅速な処置への対応」と「患者の負担を最小限とするケア」を同時に行い、「今後生じる問題の総括と評価」に至っていた。 結論:1年目の看護師は、観察や処置介助に追われ、場面ごとの臨床判断に終始していたが、5年以上の看護師は経験を念頭に置き、広い視野から焦点化させながら臨床判断を行っていた。初療で迅速な対応を求められる場合には、予測性が準備やケアの在り方にまで影響し、臨床経験による臨床判断の差異は、予測性における選択肢の多様性や具体性で示された。
  • 一般病棟の看護師と比較して
    佐藤 扶美代, 村上 明美, 三浦 怜子, 渡部 智恵子
    2014 年 16 巻 2 号 p. 23-27
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/04/05
    ジャーナル オープンアクセス
    目的:救命医療に携わる看護師はストレスフルな職場環境にありストレスの耐性能力も要求されていると報告されている。救命救急センターの看護師は一般内科病棟の看護師と比較してストレス感受性と性格特性において差異があるか検討した。 方法:救命救急センターの看護師35名と一般内科病棟の看護師33名を対象に臨床看護職者の仕事ストレッサー測 定尺度(NJSS)、矢田部ギルフォード性格検査(YG性格検査)を併用した質問紙調査を行った。 結果:NJSSは救命救急センターの看護師が平均2.8±0.5点、一般内科病棟の看護師が平均2.8±0.7点で有意差はなかった。NJSSとYG性格検査との関係は情緒不安定因子との間で弱い正の相関がみられた(r=.156、p<.05)。 考察:救命救急センターの看護師は一般内科病棟の看護師と比較してストレス感受性と性格特性において違いはなかった。看護師の感じるストレスは性格特性と関係があり、ストレス値に関わらず情緒不安定因子が高い場合にはサポートの必要性があると考えられた。
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