ジャフィー・ジャーナル
Online ISSN : 2434-4702
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  • 霧生 拓也, 枇々木 裕太, 枇々木 規雄
    2021 年 19 巻 p. 1-27
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/23
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    最適資産配分問題において収益率分布の推定はパフォーマンスに大きく影響する重要なプロセスである.これまでに様々な推定方法が提案されてきたが,近年特に注目を集めているのがRoss (2015)のRecovery Theorem (RT)を用いる方法である.この方法では過去データを利用せずに,推定時点のオプションの市場価格からフォワードルッキングな分布を推定できることから,資産配分において高いパフォーマンスを獲得できることが期待されている.そこで,本研究では株式と無リスク資産の2資産に対する最適資産配分問題を対象として,米国および日本における約20年間のバックテストの結果をもとに推定方法の特徴を整理し,パフォーマンスを比較する.分析結果からRTを用いた方法は多くのケースにおいて相対的に高いパフォーマンスを獲得できることが確認できた.また,RTを用いた方法とその他の方法の大きな違いは分布の平均(期待リターン)の推定値に現れ,その違いがRTを用いた方法の高いパフォーマンスに大きく寄与していることもわかった.これらの結果は資産配分においてフォワードルッキングな方法で期待リターンを推定することの重要性を示唆するものである.

  • 夷藤 翔, 牧本直樹
    2021 年 19 巻 p. 27-56
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/23
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    本研究では,Christoffersen(2012)等のダイナミック非対称tコピュラにおいて,定数として扱われた自由度および歪度パラメータにマルコフ・スイッチング・モデルを導入し,本邦株式市場の依存構造を研究する.研究の主な焦点は,(1) 非線形な依存構造の状態変化が示唆する市場環境,(2) 資産間の下側裾依存性に関する動的特徴,(3) リスク管理の実務への応用可能性である.研究結果から,本研究で提案したマルコフ・スイッチング・ダイナミック非対称tコピュラは,本邦株式市場の平常局面およびダウンサイド・リスク顕在化局面の遷移を捉え,AIC規準の観点からダイナミック非対称tコピュラ対比で本邦株式市場のデータへの適合度を高めることが示された.加えて,シクリカル・セクターおよびディフェンシブ・セクターへの分散投資は下側裾依存性を低下させ,市場下落時の耐性を上述した両局面ともに高めることが示唆された.さらに,マルコフ・スイッチング・ダイナミック非対称tコピュラを用いて非線形な依存構造の状態変化を捕捉することで,VaRおよびCVaRの推定精度が改善する傾向にあることを示した.

  • 秋山 朋也, 杉本 誠忠, 酒本 隆太, 鈴木 智也
    2021 年 19 巻 p. 57-78
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/23
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    本研究では,貿易通貨取引比率の偏りによって生じる外国為替レートのアノマリーについて分析した.日本では江戸時代以前より五十払い(ごとばらい)という商習慣があり,ゴトオビに国内輸入企業の資金決済が集中しやすい.その結果,海外企業への支払いのために円売り需要が一時的に高まり,日本時間10時頃に公示される仲値に向けて円安になりやすい.これは「ゴトオビアノマリー」と呼ばれ,投資家らの経験則として俗世間的に知られているが,ゴトオビの性質上サンプルサイズが小さいため,統計的な信頼性を確保することが難しい.そこで本研究では,前倒しゴトオビ(ゴトオビが休日の場合の前営業日)を加え,サンプルサイズを拡張したうえで,ゴトオビアノマリーの妥当性について統計的仮説検定を行った.その結果,国内輸入における貿易通貨取引比率が最も高い米ドル(USD/JPY)において本アノマリーの傾向が強く,続くユーロ(EUR/JPY)やクロスレート(EUR/USD)において徐々にアノマリーの傾向が弱まることを確認した.さらに本アノマリーの活用事例として投資シミュレーションを実施し,有益なパフォーマンスを得るためのエントリータイミングについて検証した.

  • 西家 宏典, 長尾 智晴
    2021 年 19 巻 p. 79-96
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/23
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    従業員クチコミサイトの従業員クチコミの文章情報から「働きがい」「働きやすさ」の代替指標としての時系列スコアを生成し, 企業業績及び株式パフォーマンスとの関連性を分析した. その結果, 働きがい及び働きやすさスコアの改善は,2∼3年程度遅れて企業の成長性や収益性にプラスの影響をもたらし, 逆に企業のサステイナブル成長率の向上は,1 年程度遅れて働きがいを向上させることが分かった. また株式パフォーマンスとの関連性については, 両スコアの改善ポートフォリオは 1年程度遅れて統計的に有意な正の超過リターンをもたらし, 株式市場におけるミス・プライシングが発生していることが示唆された一方, 働きやすさのみの改善ポートフォリオでは統計的に有意な超過リターンは観測されなかった.

  • ―機関投資家へのアンケート調査―
    芦立 剛樹
    2021 年 19 巻 p. 97-114
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/23
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    本研究では,金融業界の機関投資家として勤務するトレーダーの社内における評価制度(過酷なノルマや高額報酬)が株式売買を通じて,株式市場における非合理的な株価形成に与える影響の考察を行う.機関投資家で働いているトレーダー達の成果報酬の一部であるインセンティブについて,インタビュー調査を行った.その調査によりノルマや高額報酬といった強すぎるインセンティブが,トレーダー達の精神面への強いプレッシャーにより過度に成果を追い求めて公正価格を無視した取引を助長する可能性があるのではないかと考えた.先行研究の学生被験者を用いた実験研究からは,社内の評価制度を想定したトレーダー間の競争を煽るようなインセンティブ設定があるときに,非合理的な価格での取引が増加することが指摘されていた.そこで,本研究では機関投資家で実際に株式売買を行うトレーダーを対象にアンケートを実施し,トレーダーが実際に直面しているノルマとインセンティブ等の社内の評価制度により公正価格を無視した取引を行うことがあることを明らかにした.

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