日本獣医腎泌尿器学会誌
Online ISSN : 2434-0146
Print ISSN : 1883-2652
13 巻, 1 号
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特別寄稿
総説
  • 岩井 聡美
    2021 年 13 巻 1 号 p. 7-17
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/12
    ジャーナル フリー
    副生殖器である犬の前立腺は膀胱の尾側に存在し、近位尿道を全周に取り囲んでいる。犬の前立腺疾患には、前立腺炎、前立腺膿瘍、前立腺嚢胞、前立腺過形成、前立腺腫瘍などがある。良性の前立腺肥大は6歳を超えた未去勢犬の80%以上に発生すると報告されている。一方で、犬の前立腺の悪性腫瘍の発生率は0.2-0.6%とあまり高いものではないが、潜行性で発見までに時間がかかり、悪性度が高いため、発見された時点で転移していることも多い。こういった疾患に対して、選択する外科治療について解説する。
原著
  • 西村 裕介, 王 碧昭
    2021 年 13 巻 1 号 p. 18-26
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/12
    ジャーナル フリー
    近年、iPS樹立と共に様々な臓器で、組織の構築に成功している。しかし、腎臓では、血液濾過の要である糸球体毛細血管の形成に成功していない。そこで本研究は、微小重力環境と移植の技術を融合することにより、腎組織を形成させることができるか検討した。マウスの発生期腎臓細胞スフェロイドを複数個、微小重力装置で培養すると、融合スフェロイドを形成した。融合スフェロイド内は尿管芽、ネフロン前駆体と糸球体様組織の形成が確認できた。次に、融合スフェロイドをマウスの腎臓被膜下に移植した結果、ネフロン様組織構造の形成が確認できた。さらに蛍光色素を標識したアルブミンを移植したマウスに灌流させると、移植スフェロイド内にある糸球体様構造にアルブミンの存在が確認され、管腔があることが分かった。
  • 岩崎 真優子, 三品 美夏, 堀江 和香, 渡邊
    2021 年 13 巻 1 号 p. 27-34
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/12
    ジャーナル フリー
    犬の原発性腎臓腫瘍28例におけるシクロオキシゲナーゼ(COX)-2の発現性およびピロキシカムの抗腫瘍効果に関して検討を行った。免疫組織化学染色を実施した腎臓腫瘍の42.9%(6/14例)でCOX-2の発現が認められた。COX-2の発現が認められたのはすべて腎上皮系腫瘍(腎腺癌、腎臓移行上皮癌)であり、間葉系腫瘍、胎子系腫瘍ではCOX-2の発現は認められなかった。また、これら腎上皮系腫瘍の転移部位においてもCOX-2の発現が認められた。外科手術併用なしでピロキシカムを投与した症例(3/8例)および、初診時に転移が認められピロキシカムを投与した症例(8/16例)では未投与症例と比較して、生存期間中央値は有意に延長した。また、ピロキシカム投与後に腎臓腫瘍および転移部位の縮小が認められた症例も1例存在した。以上より、ピロキシカムが犬の原発性腎臓腫瘍に対しても抗腫瘍効果を示す可能性が示唆された。
症例報告
ガイドライン
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