ビフィズス菌含有製品中のビフィズス菌数測定には, 光岡によって開発された腸内フローラ中のビフィズス菌数測定法が広く適用されている.しかしながら, 本法に従って測定した場合, 試料によってはビフィズス菌数回収率が40%以下と低かったり, また, 同一試料でも測定値が大幅に変動する現象が観察された.回収率が低い原因としては, ビタミンC含有試料の場合であり, 高濃度のビタミンCが存在すると試料溶解時に希釈液pHが低下し, 希釈液中での菌死滅によりビフィズス菌数測定値が低下することが判明した.そこで, 使用する嫌気性希釈液 (pH6.4) からシステインと炭酸ガスを除去し希釈液自体のpHを7.0と高め, かつ初発希釈倍率を10倍から100倍に変更することにより, 初発希釈時のpH低下を防止でき, 回収率は70%以上に向上した.この変更した希釈方法は, 上記試料のほか, 市販製品等にも適用でき, 汎用性のあるより簡便な方法であった.また, ビフィズス菌数測定値は希釈液品温により変動し, 試料溶解液放置時, および試料を塗沫したBL平板放置時にもビフィズス菌の死滅により変動した.したがって, 精度の高い測定値を得るためには, 希釈液品温を一定にし, かっ測定操作を短時間内に完了することが必要であった.さらに, 試料溶解液を止むなく放置する場合には, 低温放置あるいは初発希釈液として牛乳を使用することにより, 放置時の菌死滅を防止し, 測定値変動を小さくすることが可能であった.
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