VITEKシステム (Anaerobes Identification Card, 以下ANI Card) によって腸内常在嫌気性菌の菌種同定を行うために, 増菌培地, 接種菌量および同定の再現性の検討を行ったところ, 増菌培地として Brucella HK寒天平板が優れており, 接種菌液量としてMcFarland No.4以上の濃度を必要とした.この 結果より腸内常在嫌気性菌112菌株 (8菌属21菌種) の菌種同定すると, ANI Cardにより39菌株 (34.8%) が同定されたが, 34菌株 (30.4) は未同定であった.さらにANI Card中に性状パターンが見いだされない 菌株が39菌株もあった.菌種別に見ると,
Bacteroides fragilis groupに属する菌株が高い同定率 (89.2%) を示したが,
Eubacterium aerofaciens, Lactobacillus gasseri, L.reuteri, Clostridium innocuumおよび
C. clostridiiformeはすべての菌株はANI Cardの性状パターンと必ずしも一致しなかった.さらに,
Bifidobacterium および嫌気性グラム陽性球菌はANI Cardに収録されていないため, 同定しえなかった.以上の 成績よりヒトの腸内最優勢菌である
B.fragilis groupの菌種同定にVITEKシステムは優れた装置であるこ とが明らかにされたが,
Eubacterium, Lactobacillusおよび
Clostridiumの同定における確実性は認められな かった.
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