Japanese Journal of Acute Care Surgery
Online ISSN : 2436-102X
11 巻, 1 号
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原著論文
  • Tae Hyun Kim, Jung Yun Park, Yun Tae Jung, Seung Hwan Lee, Myung Jae J ...
    原稿種別: 原著論文
    2021 年 11 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/29
    [早期公開] 公開日: 2021/12/21
    ジャーナル フリー
    〔要旨〕目的:米国においてAcute Care Surgery(ACS)は,患者アウトカムと治療効率を改善することが示されている。ソウル延世大学病院外科においても,緊急手術を要する非外傷患者の外科的介入までの時間を短縮し,また,一般外科研修医や専攻医に多様な手術経験を提供する目的でACSが導入された。本研究の目的は,単一施設におけるACS部門の10 年間の経験を報告することである。 方法:2008年3月~2018年2月の間に延世大学病院外科に入院したすべての患者を対象に,後ろ向きに診療記録のレビューを実施した。患者は外傷群/非外傷群に分け,さらにそれぞれの診断や手術の種類により分類した。 結果:患者は総数が2,805例であり,そのうち外傷例は1,001例,非外傷例は1,804例であった。平均入院期間は14日間で,院内総死亡率は3.6%であった。外傷群の受傷機転は,鈍的(92.6%),穿通性(7.0%),および熱傷(0.4%)であった。非外傷性群では虫垂炎(37.1%)が最多であり,胆囊炎(21.7%)が次に多かった。全例で1,561件の手術が実施された。もっとも頻度が高い手術は虫垂切除術(38.3%)であり,続いて胆囊摘出術(19.5%),癒着剝離術(7.8%)であった。 結論:韓国の一施設においてACS部門が独立して設置され,その結果一定の機能を果たしていることが示された。
症例報告
  • 鍵谷 卓司, 小笠原 健太, 髙橋 義也, 市澤 愛郁, 川﨑 恭兵, 吉田 茂之, 牧野 克俊, 滝上 隆一, 山本 孝夫, 尾崎 信弘
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 11 巻 1 号 p. 7-11
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/29
    [早期公開] 公開日: 2021/11/16
    ジャーナル フリー
    〔要旨〕症例は大腸憩室炎の既往がある70歳の男性で,急性期脳梗塞に対して遺伝子組み換え組織型プラスミノゲン・アクティベータ(recombinant tissue-type plasminogen activator: rt-PA)静注療法が行われた。治療開始後に大量下血により出血性ショックを呈した。腹部CT検査で横行結腸肝彎曲部に血管外漏出像を認め,血管塞栓術により止血したが,2日後に再度大量下血を認めた。結腸左半切除および右上腹部への横行結腸人工肛門造設術を行った。rt-PA静注療法の慎重投与例では,頭蓋外出血による出血性ショックが生じ,迅速な治療を要する可能性がある。また,脳梗塞発症後の人工肛門造設は,術後のADLや長期管理などについて考慮する必要があると考えられたため報告する。
  • —当院10例の症例報告
    茅田 洋之, 犬飼 公一, 橋本 優, 天野 浩司, 薬師寺 秀明, 中村 純寿, 向井 信貴, 晋山 直樹, 臼井 章浩, 森田 正則, ...
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 11 巻 1 号 p. 12-17
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/29
    [早期公開] 公開日: 2021/11/25
    ジャーナル フリー
    〔要旨〕特発性食道破裂に対する治療戦略はいまだ議論のあるところである。当院では近年,胸腔内穿破をきたし状態が不安定な症例に対しても,緊急開胸手術を回避し,sepsisに対する集学的治療とinterventional radiology(IVR)を駆使したドレナージによる胸腔内感染制御を主眼とした低侵襲治療戦略をとっている。当院では,2016年4月~2020年12月までに特発性食道破裂症例を10例経験した。全例軽快し,ICU在室期間,在院期間中央値は,緊急開胸手術2例が12.5日,58日,低侵襲治療8例(5例で来院時に胸腔内穿破,3例で呼吸・循環不全を認めていた)が6.5日,27日であった。以上の10例の経験より,特発性食道破裂症例に対する低侵襲治療は有用な戦略となる可能性があると考えられた。
  • 萩原 令彦, 金 史英, 増野 智彦, 石井 浩統, 渡邉 学, 浅井 浩司, 榎本 俊行, 二渡 信江, 寺岡 晋太郎, 斉田 芳久
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 11 巻 1 号 p. 18-21
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/29
    [早期公開] 公開日: 2021/11/25
    ジャーナル フリー
    〔要旨〕症例は27歳,女性。分娩1カ月後,近医での子宮内容除去術の際に子宮穿孔をきたし,小腸が子宮内に脱出したため当センター搬送となった。子宮内に脱出した小腸は膣外へ脱出し,緊急手術となった。手術所見では回腸末端から口側50~75cmの回腸が子宮内に脱出,嵌頓をきたし,小腸部分切除術と子宮縫合術を施行した。摘出検体の回腸穿孔部近傍にメッケル憩室を認めた。子宮内掻爬で子宮を全層に損傷し,子宮内へ迷入したメッケル憩室を子宮内容物と誤認し牽引したものと推察された。子宮内容除去術により子宮穿孔をきたし,メッケル憩室が併存していた回腸嵌頓・穿孔の症例報告はこれまでになく,文献的考察を加え報告する。
  • 安藤 彰俊, 室野井 智博, 佐藤 瑞穂, 神戸 勝世, 上山 晋也, 松本 亮, 藏本 俊輔, 岡 和幸, 下条 芳秀, 木谷 昭彦, 比 ...
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 11 巻 1 号 p. 22-27
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/29
    [早期公開] 公開日: 2021/12/10
    ジャーナル フリー
    〔要旨〕症例は77歳男性。大動脈弁閉鎖不全症に対し大動脈弁置換術施行後,抗凝固療法中であった。朝食摂取後,持続する右上腹部痛を主訴に当院救急外来を受診した。Murphy徴候は陽性,単純CTで腫大した胆囊内に出血を疑う高吸収域を認めたため,造影CTを施行した。胆囊内に造影剤の血管外漏出像を認め,胆囊内出血の診断で,同日緊急腹腔鏡下胆囊摘出術を施行した。出血性合併症を認めず,術後5日目に軽快退院となった。病理学的に悪性腫瘍や動脈瘤の所見はなく,慢性胆囊炎による胆囊内出血と診断した。胆囊内出血はまれな病態であるが,早期に診断し適切な治療を行えば経過は良好である。
  • 藏田 能裕, 一瀬 雅典, 岡田 真也, 佐々木拓馬 , 深澤 公朗, 嶋尾 仁, 松原 久裕
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 11 巻 1 号 p. 28-33
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/29
    [早期公開] 公開日: 2021/12/17
    ジャーナル フリー
    〔要旨〕73歳女性。潰瘍性大腸炎のためステロイド投与中であった。下痢を主訴に来院し,急性胃腸炎の診断で保存的加療を開始したが,第5病日の精査により,肺動脈塞栓症と急性胆囊炎を指摘された。抗凝固療法・抗菌薬等により加療を行ったが下血をきたし,急速に全身状態が悪化し,第19病日に死亡した。剖検所見では,肺動脈塞栓症,深部静脈血栓症に加えて,右側結腸の巨大結腸症と腸管穿孔,回腸のbackwash ileitisを認めた。潰瘍性大腸炎の悪化を引き金として多発血栓症を発症し,腸管穿孔・汎発性腹膜炎により死亡したものと考えられた。 Backwash ileitisを伴う潰瘍性大腸炎症例は急性増悪しやすいため,タイミングを逃さず外科的介入を行うことが重要と考えられた。
  • 鈴木 源, 川浦 洋征, 五木田 昌士, 勅使河原 勝伸, 清田 和也
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 11 巻 1 号 p. 34-37
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/29
    [早期公開] 公開日: 2021/12/17
    ジャーナル フリー
    〔要旨〕KANI®を用いた肋骨固定術後の肋間神経痛に対してプレート抜去を行った症例を報告する。53歳,女性。バイク走行中に転倒し受傷し,当院に搬送された。左多発肋骨骨折,肺挫傷,血胸の診断で入院となった。受傷後23日目に肋骨固定術を行った。術後1カ月後より異物感や体動による側胸部痛が生じ,一部逸脱したKANI®の物理的刺激による肋間神経痛と診断した。内服薬で経過をみていたが,増悪傾向であり,術後12カ月に逸脱したプレート抜去術を行った。軽度の異物感が残存したが,肋間神経痛は改善した。KANI®を含むJudet-like strutsは肋間神経痛を引き起こす可能性があるとされるが,わが国での報告はない。定まった治療法はないが,本症例ではプレート抜去が有効であった。
  • 吉岡 隆文, 小寺 輝, 丸山 尚嗣, 田中 元, 貝沼 修, 夏目 俊之, 佐藤 やよい, 野手 洋雅, 鎌田 敏希, 森下 弘基, 内山 ...
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 11 巻 1 号 p. 38-41
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/29
    [早期公開] 公開日: 2021/12/18
    ジャーナル フリー
    〔要旨〕症例は70歳,女性。来院5日前に他院で婦人科ロボット支援下手術を施行され,退院となったが,腹痛・嘔吐のため当院救急外来を受診した。CT検査で腸閉塞を認め,左側腹部のポートサイトに小腸が嵌頓していた。用手還納不能のため,緊急手術を施行した。外腹斜筋膜に,10mm大の欠損と同部に嵌頓した小腸を認めた。壊死はなく,還納後筋膜を縫合閉鎖して終了した。術後経過は良好で,5日目に退院となった。ポートサイトヘルニアはまれな合併症であるが,ロボット手術件数の増加に伴い,今後増加してくると思われる。ロボット手術後の腸閉塞を診察した場合,ポートサイトヘルニアを考慮するべきである。
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