〔要旨〕目的:米国においてAcute Care Surgery(ACS)は,患者アウトカムと治療効率を改善することが示されている。ソウル延世大学病院外科においても,緊急手術を要する非外傷患者の外科的介入までの時間を短縮し,また,一般外科研修医や専攻医に多様な手術経験を提供する目的でACSが導入された。本研究の目的は,単一施設におけるACS部門の10 年間の経験を報告することである。
方法:2008年3月~2018年2月の間に延世大学病院外科に入院したすべての患者を対象に,後ろ向きに診療記録のレビューを実施した。患者は外傷群/非外傷群に分け,さらにそれぞれの診断や手術の種類により分類した。
結果:患者は総数が2,805例であり,そのうち外傷例は1,001例,非外傷例は1,804例であった。平均入院期間は14日間で,院内総死亡率は3.6%であった。外傷群の受傷機転は,鈍的(92.6%),穿通性(7.0%),および熱傷(0.4%)であった。非外傷性群では虫垂炎(37.1%)が最多であり,胆囊炎(21.7%)が次に多かった。全例で1,561件の手術が実施された。もっとも頻度が高い手術は虫垂切除術(38.3%)であり,続いて胆囊摘出術(19.5%),癒着剝離術(7.8%)であった。
結論:韓国の一施設においてACS部門が独立して設置され,その結果一定の機能を果たしていることが示された。
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