背景・目的 九州大学病院別府病院では1℃程度上昇させる特殊温泉浴「鉱泥浴」治療を行っている。この深部体温上昇を悪性疾患の治療に応用できるかの検証を着想した そこで2℃程度のマイルドな温度変化が抗がん効果に及ぼす影響の有無を確認する。
方法 理研細胞バンクより4種類の細胞 (HUVECs, Jurkat, SLVL, KMST-6)を入手し35℃ 37℃ 39℃で24時間培養後、37℃の通常培養に戻し、異なる濃度の抗がん剤Ara-C(0, 100, 400μM)に24時間暴露しその後の細胞の増殖率を追跡した。
結果 がん細胞モデルJurkat, KMST-6, SLVLのいずれもAra-C非存在下では、35,37,39℃いずれの場合も正常対照HUVECsよりも高い増殖率を示した。KMST-6(線維芽細胞)は、温度によらずAra-Cに対して耐性である。Jurkat(Tリンパ細胞系)は、温度によらずAra-Cに対する感受性が高い。SLVL(Bリンパ細胞系)は、35℃(低温)下ではAra-Cに対する耐性がみられた。
考察 抗がん剤に対する反応は、がん細胞の種類によって異なっていた。今後様々ながん細胞に同様の検討をすすめることが、高温化学療法が奏功するがんのスクリーニングになると考えられる。
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