日本下肢救済・足病学会誌
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3 巻, 3 号
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巻頭言
総説
  • 館 正弘, 林 殿聡
    2011 年3 巻3 号 p. 65-70
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/09/30
    ジャーナル 認証あり
    下肢感染症治療の基本となる考え方は同じである.すなわち生体側には最小限の侵襲で,病原細菌を減少させ,救肢・創傷治癒を図るというものである.外科的介入のタイミングを含めて,さまざまな抗菌薬を適切に選択することが求められる.重症度の評価→治療法の選択・施行→再評価が具体的な治療の流れとなる.重症感染症と判断された場合には,感染症科,外科,内科,形成外科,麻酔科,救命科など,考えられるすべての医師の英知を結集する必要がある.重症感染症では救命,救肢のための切開排膿,外科的デブリードマンをためらってはならない.重症例ではまずempiric に網羅的抗菌剤を選択する.MRSA を含めた薬剤耐性菌にも十分な注意が必要であり,組織移行性を考慮して薬剤を選択する.慢性期には生体が対処できるレベルまで細菌数を減らすことが目標となり,銀製剤やヨウ素製剤をタイムリーに使用することが求められる.
特集:糖尿病合併症管理料(30 分間に看護師は何をすべきか)
下肢救済—私たちの取り組み(4)
原著
  • 西成 真琴, 青山 直善, 大谷 慎一, 金井 昭文, 加藤 伸太朗, 渡辺 昌文, 平田 光博, 和泉 徹
    2011 年3 巻3 号 p. 121-128
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/09/30
    ジャーナル 認証あり
    【目的】重症下肢虚血(CLI: critical limb ischemia)の集約的治療において,自家末梢血単核球細胞移植による血管新生治療の位置づけを明確にするために,治療奏功(非大切断)群と治療非奏効(大切断)群に分類し,移植治療前の臨床像を2 群間において比較検討した.【方法】移植治療施行後6 カ月以上を経過した18 例を,大切断群(6 例)と非大切断群(12 例)に分類し,移植治療前の患者背景,血液検査所見,採取移植血液所見,血管造影所見および血流評価を比較検討した.【結果】大切断群は,経皮酸素分圧は低値で,炎症反応が高値であった.また採取移植血液のCD34 陽性細胞数および血小板数が低値であった.血流評価では,大切断群において有意に下腿3 分枝の複数に完全閉塞を認めた.【結論】感染管理と下腿3 分枝の複数に血行再建を行った上で移植治療を行うことにより,大切断を免れる可能性が高い.
  • 佐藤 友保, 鼻岡 佳子
    2011 年3 巻3 号 p. 129-134
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/09/30
    ジャーナル 認証あり
    重症下肢虚血(critical limb ischemia; CLI)の治療法を考える上で動脈病変の状態・分布を術前に知ることは重要である.最近では多検出器列CT(MDCT)の発達に伴い,動脈評価の主体となる検査としての地位を確立しつつある.しかし,CLI 症例では,血管に高度石灰化があり,従来のCTA(computed tomographic angiography)では血管の状態を充分に評価できないことも多かった.非造影相と動脈相の2 回のCT 撮影後,差分処理を行ったCTA(computed tomographic digital subtraction angiography; CTDSA)を作成し,その有用性と石灰化の程度が画像に与える影響について検討した.大動脈・腸骨動脈領域では,従来のCPR(curved planer reconstruction)法,MIP(maximum intensity projection)法での描出が良好であったが,下腿動脈領域ではCTDSA での描出が良好であった.CTDSA は特に下腿領域で石灰化の影響を受けにくく,従来のMIP 法ではほとんど評価のできないような,高度石灰化例でも内腔評価が可能なことが多かった.
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