自然言語処理
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18 巻, 1 号
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巻頭言
論文
  • 中野 てい子, 冨浦 洋一
    2011 年 18 巻 1 号 p. 3-29
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/04/27
    ジャーナル フリー
    日本語学習者が産出する名詞 n,格助詞 c,動詞 v から成る不自然な共起表現 〈n,c,v〉 の中には,動詞選択の誤りに起因するものがある.本稿では,学習者が入力する共起表現 〈n,c,v〉の v に対する適切な代替動詞候補を与える手法を提案する.不自然な共起表現中の動詞(誤用動詞)と自然な共起表現となるように修正した適切な動詞(正用動詞)とは出現環境が類似している傾向にあると考えられる.この仮説に基づき,大規模な母語話者コーパスから得られる統計情報を用いて,〈n,c〉 との共起が自然と言える代替動詞候補を,学習者が入力した共起表現の動詞との出現環境の類似度の降順に提示する.まず,誤用動詞とその正用動詞のデータに基づいてこの仮説を検証し,さらに,同データを用いて提案手法に基づいた共起表現に関する作文支援システムの実用性について検討する.
  • 梅澤 俊之, 原田 実
    2011 年 18 巻 1 号 p. 31-56
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/04/27
    ジャーナル フリー
    自動要約,照応解析,質問応答,評判分析などの応用では,文章中の文間の役割的関係や話題の推移の解析が必要になりつつある.本研究ではセンタリング理論と対象知識に基づき談話中の話題の移り変わりを意味的に解析し談話構造を生成する手法を提案し,これに基づく談話構造解析システム DIA を開発した.本研究ではセンタリング理論を拡張し文の依存先の決定に用いる.また,語の語意が表す概念の部分/属性関係,上位―下位関係,類似関係といった対象に関する意味的関係を EDR 電子辞書中の共起辞書と概念体系辞書から抽出し,文間の接続関係の決定に用いる.談話の中で話題の推移を表すために談話構造木を定義した.談話構造木では,句点で区切られた文をノードとし,各ノードはただ 1 つの親ノードを持つ.また,文を接続しているアークに 9 種類の文間接続関係(詳細化,展開,原因―結果,逆接,遷移,転換,並列,例提示,質問―応答)を付与する.談話構造を決定する手法としては,拡張したセンタリング理論を元に各文に対してそれより前にある文に対して親ノードとなる可能性を得点化し,最高点のものを親ノードとする.次に各文ノード間のアークに対して,その接続関係が 9 種のそれぞれである可能性を評価する経験的なルールを 36 個定め,最高得点を得た関係ラベルをアークに付与する.評価実験の結果,接続先の特定では 82%,文間接続関係の判定では 81% の精度を実現した.
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