重要文抽出法に基づく要約手法に対する研究に一応の成熟が見られる中で, informativeな要約の実現へ向けて要約文の可読性の問題が取り上げられてきている.そこで本研究では, 話題の連想による文間, 段落問の繋がりに着目し, 要約文中の話題の流れの合計を最大にすることによって, 読みやすい要約文を得ることを試みる.要約システムはまず, 文章中で話題の流れが途切れる個所で段落分けし, 階層的な段落構造を構築する.次に, 話題の流れの解析によって導入部, 結論部を検出し保存する.そして, 周囲の話題の流れへの寄与率を評価値として閾値未満の不要な部分を選択し, 段落単位で削除していくことによって要約文を作成する.またその際, 自動的に閾値を補正し再試行することによって, 要約率の誤差をできるだけ小さく抑える.以上により, 文と文, 段落と段落が話題の連想による結束性で強く結び付いた, 読みやすい要約文を得ることができる.新聞の社説記事を用いた評価実験により, 提案手法は, まだ人手による要約と比べるとやや物足りないが, 比較的読みやすい要約文を生成することがわかった.また, 要約率30%の要約文中に原文中の結論が保存される割合は77.5%であった.
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