本論文は, 動詞と主体の属性を用いて, 複文中の連接関係を解析するモデルを作成し, 評価した結果を述べる. 複文中の連接関係の関係的意味は, 接続詞, 助詞等の接続の表現だけでは決まらず, 曖昧性がある. 例えば, 助詞「て」による連接関係には, 「時間的継起」のほかに「方法」, 「付帯状態」, 「理由」, 「目的」, 「並列」などがある. これらの関係的意味は, 従属節や主節の述語の表している事象の意味タイプ, およびその組み合わせによって決まってくる. 従って, 動詞と名詞の意味的関係を表すために, 動詞と名詞の意味分類を用いた格パターンがあると同様に, 従属節と主節の連接関係にも, 各々の節を構成する動詞と主体の属性を用いた連接関係パターンが存在すると考えることができる. 本論文のモデルでは, 従属節と主節の, 動詞と主体の属性を用いて, 連接関係の関係的意味を推定する. 動詞の属性として, 意志性, 意味分類, 慣用的表現, ムード・アスペクト・ヴォイス, 主体の属性として, 主節と従属節の主体が同一かどうか, 無生物主体かどうかを用いた. このモデルを, 技術文書に適用した結果, 95%の文が正しく解析できた.
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