土木学会論文集B
Online ISSN : 1880-6031
ISSN-L : 1880-6031
64 巻, 2 号
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和文論文
  • 横山 勝英, 山本 浩一, 河野 史郎
    2008 年 64 巻 2 号 p. 83-98
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/04/21
    ジャーナル フリー
     有明海湾奥部の地形·底質変動特性と河川洪水の影響を明らかにするために,筑後川感潮河道と河口干潟域において洪水前後に高密度な測量と底質分析(物理項目と各種形態リン)を行い,以下の結論を得た.(1) 干潟の澪筋規模は河川感潮域で生み出される潮汐流によって規定されている,(2) 筑後川の感潮河道では洪水時にシルト·粘土の河床が浸食され,干潟域にはその浸食泥と流域生産土砂が堆積する,(3) 平常時には干潟に堆積したシルト·粘土が潮汐流によって再移動し,一部は感潮河道に遡上し,残りは沖合に流出する,(4) 筑後川干潟の南西海域に流出したシルト·粘土はエスチャリー循環によって六角川河口付近や海底水道に集積すると推測される,(5) 六角川河口東部の干潟では洪水後の短期的な土砂供給は少なく,有機物や栄養塩が常に消費される状態にある.
  • 二瓶 泰雄, 色川 有, 井出 恭平, 高村 智之
    2008 年 64 巻 2 号 p. 99-114
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/04/21
    ジャーナル フリー
     超音波ドップラー流速分布計(ADCP)に基づく河川流量観測法を確立するために,ADCPを用いた現地調査を通して,その観測手順や流量計測精度について検討した.ここでは,鉛直下向きにして水面付近に浮かべたADCPを橋上より横断方向に移動させ,横断面内の流速·水深分布を取得する,というADCP移動観測法を行う.流量算定に必要となる流速や水深,ADCP横断位置の計測精度を検討した結果,これらの相対誤差は2∼9%と全般的に小さな値となった.また,ADCP移動観測法の流量計測精度は,低流量条件では若干低下するものの,ある流量値(ここでは100m3/s)より大きいと高くなり,そのときの相対誤差は5%以下となった.以上の結果に基づいて,ADCP移動観測法に関する定性的な適用範囲を整理した.
  • 鶴巻 有一郎
    2008 年 64 巻 2 号 p. 115-127
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/04/21
    ジャーナル フリー
     本論文は,サージタンクを有する一般的既設水力発電所の運用に新たにAFC運転(大振幅の強制出力振動の運用)を導入するために,水路系の流体挙動を把握し,かつ,既設設備の有する能力を把握するための無次元汎用図を示す.この検討に必要とする既設発電所の情報量は,総落差,設計水圧および導水路トンネル内の損失水頭の3データと少ないことを明らかにする.さらに,AFC運転中の水路系流体運動の非線形強制振動方程式をカオス学の面からも検討を加えた.その結果,実用の範囲内ではカオスの発生がないことが明らかになった.
  • 牛島 省, 福谷 彰, 牧野 統師
    2008 年 64 巻 2 号 p. 128-138
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/20
    ジャーナル フリー
     3次元自由水面流中において,接触を伴う複雑形状物体の運動を扱う数値解法を考察した.この解法では,物体を含む自由水面流れを固気液多相場として扱うことにより,物体に作用する流体力と物体が流体に及ぼす運動量が考慮される.流体中の任意形状物体は剛体として扱われ,四面体要素により表現される.慣性テンソル等の物体の特性量や,流体との力学的な相互作用の評価には四面体要素を利用し,物体間の衝突判定には表面近傍に配置された接触判定球を用いる.この解法を一様流中に置かれた円柱周りの流れ,直方体形状の物体の水中落下過程,四脚ブロックの水中での積み重なり,また波動流れによる衝突を伴う立方体ブロックの輸送問題に適用した.これらの問題に対して,実験結果との比較により,提案された数値解法の有効性が確認された.
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