土木学会論文集B
Online ISSN : 1880-6031
ISSN-L : 1880-6031
66 巻 , 3 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
和文論文
  • 知花 武佳
    2010 年 66 巻 3 号 p. 223-234
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/20
    ジャーナル フリー
     落差工の存在は周辺地形を変化させ,生物にプラス,マイナス両方の影響を及ぼす.この影響を理解すべく,複数箇所で落差工周辺の地形,流況を観測し,その特徴及び形成機構を解析した.まず,落差工はその周辺に早瀬,淵,平瀬を形成するものの,河床低下区間では淵が形成されないことを示した.また,落差工下流に淵がない場合,その下流の早瀬はアーマー化していた.一方,落差工上流の平瀬では,河道の湾曲に対応し,内岸側が堅い礫,外岸側は軟らかい砂利の河床になるという分級が生じていた.なお,淵では,垂直に落ち込む流れのため,流量が少ない時は表層のみ流れ,多い時は底層に強い流れを生じていた.この様に,落差工周辺の瀬-淵構造は,落差工の構造,河道線形,河道縦断形といった様々なスケールの因子に規定されることを示した.
  • 大木 協, 馬 駿, 羽田野 袈裟義, 朝位 孝二, 中野 陽一, 藤里 哲彦, 福本 裕輝, 原田 利男
    2010 年 66 巻 3 号 p. 235-247
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/20
    ジャーナル フリー
     湖沼や海域の水質改善,特にDO改善を目的として著者らが開発中の液膜式気体溶解技術の概要を述べ,そのDO改善性能に関する室内実験の結果を検討する.本方式は,処理対象水を気泡液膜の構成要素にして液相中の気体濃度の勾配を大きくすることにより気体溶解を効率的に行う.また管内の浅い部分で曝気してエアリフト効果を利用して深部の水のDO改善を行うため稼働に必要なエネルギーが小さい.室内実験の結果から装置内にハニカムを装着することの影響を評価した.また,酸素溶解能力およびエネルギー効率の最適条件について調べ,管内径に対して最適の空気流量があること,h型管の水平部の水面からの高さを抑える方が有利であること,エネルギー効率は空気流量が小さいほど有利であることなどを明らかにした.
  • 齋藤 雅彦, 中川 啓
    2010 年 66 巻 3 号 p. 248-257
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,まず透水係数が不均一に分布する場において不飽和鉛直浸透場を形成し,陽イオン交換反応を伴う溶質の移動状況を観察・測定した.実験では,下端面からの浸出水について電気伝導度,陽イオン濃度および陰イオン濃度の時間変化を測定し,巨視的な物質移動の性質について1次元移流分散方程式の理論解を用いて検討するとともに,着色溶液の浸潤状態を観察した.続いて室内実験を再現するため,不飽和浸透流解析と移流分散解析による数値シミュレーションを行った.その結果,水分保持特性の不均一性が溶質の移動状況に強く影響することが確認された.また陽イオン濃度の時間変化について,陽イオン交換反応の影響は土質構成の違いを考慮したうえで,フロインドリッヒ型の吸着等温式を用いることによって概ね再現可能であることを明らかにした.
  • 後藤 仁志, 原田 英治, 五十里 洋行, 大江 一也, 安岡 恒人
    2010 年 66 巻 3 号 p. 258-267
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/20
    ジャーナル フリー
     防波堤の被覆ブロックの被災メカニズムを解明し,被災防止のための解決策を検討することは海岸構造物の維持管理コスト削減のためには重要である.本稿では,造波水路を用いた水理実験およびMPS法とDEMの融合による数値シミュレーションの双方から,マウンド法先部に設置した被覆ブロック群の崩壊過程を検討し,被覆ブロック群崩壊のメカニズムの一端を明らかにすることを目的とする.具体的には,水理実験から観察される被覆ブロック群が崩壊に至る一連のプロセスから崩壊の因子を抽出し,その因子をパラメータとした数値シミュレーションを実施して,予測された因子の妥当性を裏付けた.
  • 臼谷 友秀, 中津川 誠
    2010 年 66 巻 3 号 p. 268-279
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/20
    ジャーナル フリー
     気候変動に対する適応策の一環として多目的ダムの治水・利水機能が注目されている.その背景の一つに,積雪寒冷地の多目的ダムでは,利水容量の確保を優先した融雪期における大雨への対応が懸念されていることがある.そこで本論文では,ダムの洪水調節機能の向上を目指し,予測雨量を利用したダムの事前放流の可能性を検討した.最初に,積算予測雨量と時系列予測雨量の精度を比較し,積算予測雨量の優位性を明らかにした.次に,積算予測雨量に基づいた事前放流方法を提案し過去の大雨を伴う融雪洪水に適用した.以上の結果,積算予測雨量の利用は融雪期のダムの洪水調節機能の向上に有効であることがわかった.さらに,融雪期の多目的ダムの管理においては,事前放流によって治水機能の向上が可能であることを示唆することができた.
  • 片岡 武
    2010 年 66 巻 3 号 p. 280-288
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/20
    ジャーナル フリー
     系全体が剛体回転している状況下における密度成層流体の点吸込み流れを静止状態から始まる初期値問題として取り扱い,その流れの特徴を数値的に調べた.吸込みを開始すると同時に慣性内部波が生成され,円筒状に水平方向に広がって伝播する.この波の振舞いを詳細に調べ,選択取水流れが形成されるまでの過程を明らかにした.さらに時間が経過すると,剛体回転の影響により吸込点に流れ込む流体層の厚さ(吸込層厚さ)が徐々に増加していく.この吸込層厚さの増加する速度は粘性の影響を受けると遅くなる.本研究ではこの増加速度が,回転角速度により無次元化した時間を基準に取れば,レイノルズ数のみの関数として表わされ,その他のパラメータには依存しないことを見出した.
  • 吉井 匠, 坪野 考樹, 坂井 伸一, 松山 昌史, 多田 彰秀, 中村 武弘
    2010 年 66 巻 3 号 p. 289-301
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/21
    ジャーナル フリー
     本研究では海洋レーダを用いて,有明海内における淡水の挙動の観測を試みた.海洋レーダの受信電力の変動について検討を行った結果,観測海域の塩分の低下は海洋レーダの受信電力の低下として現れることが理論的にも,観測結果からも確認された.筑後川出水後の受信電力の低下箇所は,有明海の北西部から徐々に南下していく傾向が見られ,風速及び表層流を含めて検討した結果,表層塩分が低下した箇所に対応している.また,受信電力から推測された河川水の流出経路は,既往の研究で指摘されている流出経路とよく対応しており,海洋レーダの受信電力を用いることにより,海域においける淡水の挙動を計測できる可能性が示唆された.
  • 栗山 善昭
    2010 年 66 巻 3 号 p. 302-320
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/21
    ジャーナル フリー
     沿岸砂州の繰り返しの沖向き移動を推定するために,断面変化に関する数値シミュレーションモデルを構築した.モデルは砕波によって浮遊した底質が戻り流れにより沖向きに輸送される浮遊砂量および流速の非線形性による岸向きの掃流砂量,海底勾配による掃流砂量を考慮している.モデルに含まれる漂砂量の係数を,茨城県波崎海岸でほぼ毎日観測された1989年の1年間の断面変化を基に決定するとともに,モデルの現地適用性をキャリブレーション期間を含む1989年~1990年の2年間およびそれ以外の期間である1991年~2000年の10年間の現地データで検証した.その結果,モデルは,砂州の繰り返しの沖向き移動を,キャリブレーション期間を含む約2年間は定量的に,それ以外の期間についても定性的に再現できた.
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