土木学会論文集B
Online ISSN : 1880-6031
ISSN-L : 1880-6031
65 巻, 3 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
和文論文
  • 竹原 幸生, 江藤 剛治
    2009 年 65 巻 3 号 p. 151-165
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
    ジャーナル フリー
     Particle Tracking Velocimetry (PTV)により得られた多数のランダムな点における流速ベクトルから渦度を求めるために,数値計算分野のメッシュレス法として開発されたMoving Least Square (MLS)法を用いた渦度推定法を提案する.MLS法ではランダム点上の流速分布から格子点上の流速分布に変換することなく,直接渦度分布を求めることができる.提案したMLSによる渦度推定法の最適適合領域の推定式をモンテカルロシミュレーションにより求めた.一般的に用いられる格子変換および循環法との精度比較の結果,提案した渦度推定法の方が高精度で計測できることを示した.また,風波流れ場に対して高速ビデオカメラを用いてPTV計測を行い,求められた流速分布に提案した渦度推定法を適用した結果,空間的な渦度分布を連続的に追跡することが可能となった.
  • 安部 友則, 福岡 捷二, 塚本 洋祐
    2009 年 65 巻 3 号 p. 166-178
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
    ジャーナル フリー
     堤防決壊に伴い堤内地に流出する氾濫流の進行や氾濫範囲を予測するには,まず精度の高い氾濫流量ハイドログラフを求めることが必要である.本論文では,破堤氾濫による河道水理状況の変化が水位時空間分布に現れることを利用し,破堤の影響を反映した本川の水面形の時間変化と二次元非定常流解析から氾濫流量ハイドログラフを評価する計算方法を構築した.本解析手法の妥当性を検討するため,2005年,2006年に常願寺川河川敷上で破堤氾濫実験を行い,実験と解析の比較から,氾濫流量ハイドログラフが高精度で求まることを示した.また,本解析手法を適用し,リアルタイムで実河川の氾濫流量ハイドログラフを求めるための方法を示し,そのために必要な技術の課題を示し,解明への道筋を示した.
  • 岡本 隆明, 禰津 家久, 山上 路生
    2009 年 65 巻 3 号 p. 190-202
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/20
    ジャーナル フリー
     柔軟植生が路床に存在する開水路流れの研究は,実河川の土砂輸送や拡散特性また運動量輸送や河川生態系を考える上で重要である.本研究はPIVとPTVを併用して植生の揺動と流速ベクトルを同時計測し,群体的に揺動する「藻波現象」と乱流構造の関係特性を調べた.その結果,藻波発生時の乱流構造は乱流混合層との類似性が強くなることが明らかになった.また植生運動を対象に位相平均操作を行うことで,せん断不安定に起因するSweepやEjectionなどの組織乱流構造が藻波運動と重要な関係があることがわかった.
  • 山上 路生, 禰津 家久
    2009 年 65 巻 3 号 p. 203-216
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/20
    ジャーナル フリー
     自然河川や人工水路などの開水路流れの自由水面上に風が吹くと,底面境界層と同様に空気・水界面に流速シアーが生じる.さらに風速が増加すると波が発達し,水中には波動が伝達する.底面境界層で発生するヘアピン渦などの組織乱流渦はこのような自由水面シアーや波動の影響を受けることが予想されるが,現状ではこれらの効果についてはほとんど不明である.そこで本研究では高速度カメラを用いたPIV計測によって,空気・水界面の流速シアーや波が開水路の組織乱流構造や渦生成に与える影響を明らかにした.さらに2次元重力波が卓越するケースについては得られたデータを波成分と乱れ成分に分離して,平均流,波および乱れの三者間のエネルギー輸送動態を定量評価した.
  • 高崎 忠勝, 河村 明, 天口 英雄, 荒木 千博
    2009 年 65 巻 3 号 p. 217-230
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/20
    ジャーナル フリー
     本論文は,高度に市街化が進行した都市中小河川における実時間洪水予測に適した集中型概念モデルの精度向上に向けて,合流式下水道による流域外への排水など都市特有の流出機構を考慮し,また全流出成分を概念的に組み込むことで有効雨量の算定や流出成分の分離作業が不要となる新たな都市貯留関数モデルを提案したものである.本提案モデルを,東京都の代表的都市中小河川である神田川上流域を対象に,近年観測された豪雨9イベントに適用し,観測ハイドログラフに対する再現性を検証した.その結果,従来の貯留関数モデルと比べパラメータ数は2つ多くなるものの,流出ハイドログラフの予測精度が格段に向上し,ピーク流量や総流出量を的確に捉えられること,他降雨イベントに対するパラメータの安定性や適応性が向上することを確認した.
  • 呉 修一, 山田 正, 吉川 秀夫
    2009 年 65 巻 3 号 p. 231-245
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/09/18
    ジャーナル フリー
     本論文は,物理的観点に立脚した降雨流出機構の解明および様々な流域に普遍的に適用可能な降雨流出計算手法の構築を目的とし,有効降雨に対して実測流量データから逆推定を行ったものである.実測流量データから求めた有効降雨と流域の保水能分布から求めた有効降雨の比較を行うことにより,有効降雨の時間変動特性および物理的解釈に対して考察を行った.これにより,有効降雨の物理的解釈は降雨の形で有効降雨をとる場合と流出寄与域の形で有効降雨をとるという二つのタイプを考える必要があることを示した.また,累積降雨量に応じた流出寄与面積,流出寄与斜面長の変動を考慮した流出計算手法を新たに提案し,草木ダム流域へ実際に適用することでその合理性・実用性を示した.
  • 高木 泰士
    2009 年 65 巻 3 号 p. 246-258
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/09/18
    ジャーナル フリー
     既設防波堤を対象として,その安定性能を推定する手法を提案した.信頼性手法に基づく本手法を適用することで,防波堤被災リスクを定量的に評価することができる.被災の評価指標として,期待滑動量に加えて,新たに端趾部における被災を評価する期待超過頻度という概念を提案した.過去の被災事例に対して,本手法を適用した結果,被災の発生を妥当に再現することができた.また,被災および非被災時の合計40ケースの防波堤に対して検討を行ったところ,高波ピークの継続時間を2時間と仮定した場合,期待超過頻度が0.02∼0.04程度の範囲に被災と非被災を区別する境界が存在することが確認された.最後に,本手法を応用した防波堤の補強改修の評価フローを提案し,具体的な事例を通じて,改修に伴う安定性向上の評価や有効な改修策について検討を行った.
英文論文
  • Pallav KOIRALA, Kesayoshi HADANO, Kimihiko NAKANO, Keisuke TANEURA
    2009 年 65 巻 3 号 p. 179-189
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/17
    ジャーナル フリー
      Dynamics model has been proposed for the float-counterweight type wave energy converter which takes into account the vertical and horizontal forces on the energy extracting float. The model consists of the equation of the generator, force balance at stationary free state, equation of the float motion in operation, and the equation for the driving pulley motion. Second order simultaneous differential equations for the vertical and horizontal displacement of the float have been obtained as the equations to be solved. Components of the flow force have been evaluated from the linear progressive wave theory. Examination of the model using the experimental data shows that the model underestimates the heaving and surge, overestimates the wire tension, and gives relatively good agreement to energy gain.
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