タイ北部のランプン市周辺では高濃度のフッ素を含む地下水を飲用しているため,健康被害が拡大している.本研究では,同地域の地下水水質を明らかにするとともに,地下水中のフッ素除去を目的に建設されたNF膜ろ過プラントについて,原水水質に対する前処理の妥当性,運転状況,処理性能を調査し,膜ファウリング等への影響を評価した.
同地域の地下水は弱アルカリ性であり,NF膜ろ過プラントにより高いフッ素除去率を得ているが,炭酸カルシウム濃度が高く,スケールによる膜ファウリングを起こしやすい状態であった.これらのプラントは同じ前処理工程を採用し,NF膜は50%以下の低回収率で運転されている.回収率,pH及び前処理槽の性能を変化させた場合の膜濃縮水の水質をシミュレーションし,膜ファウリングを回避するための運転条件を提案した.
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