重要な点
・ 同一画像データを基に解析した場合,物質の減弱特性の近似は光電吸収とコンプトン散乱の減弱特性を利用するより2 つの基底物質の減弱特性を利用した方が高精度である.
・ 画像ベースのdual-energy 解析でも解析時のエネルギー設定が適切であれば,精度の良い仮想単色画像が得られる.
・ 高および低管電圧X 線のエネルギー差が大きいほど,広いエネルギー範囲にわたって仮想単色画像のCT 値の精度向上が期待できる.
要旨
【目的】
Two-material decomposition (2-MD) 法と光電吸収とコンプトン散乱により物質の減弱特性を近似する方法(以下,相互作用法)により同一画像データから仮想単色画像 (virtual monochromatic image: VMI) を取得し,それぞれのCT 値の精度を検証した.さらに,dual-energy (DE) 収集時のX 線のエネルギー差がCT 値の精度におよぼす影響を明らかにした.
【方法】
組成が既知のヨードロッド(濃度: 2, 5, 10, 15 mg/ml)を楕円柱ファントムの中心に挿入してDE スキャン(管電圧: 80/Sn140 kV, 100/Sn140 kV)した.VMI(エネルギー: 40, 50, 60, 80, 100, 150, 200 keV)を2-MD と相互作用法により作成し,ヨードロッドのCT 値を測定した(以下,実測値).ヨードロッドの組成から理論スペクトラル曲線を求め,ヨードロッドの理論CT 値を算出した.理論値と実測値の誤差より,2 つの方法で作成したVMI のCT 値の精度を検証した.
【結果】
理論値と実測値の絶対誤差は2-MD 法より相互作用法の方が大きく,いずれの場合も管電圧80/Sn140 kV より100/Sn140 kV の方が大きい傾向であった.全体で56 条件(管電圧2 条件,エネルギー7 条件,ヨード濃度4 条件)のうち絶対誤差が10 HU 以下であったのは,2-MD 法の場合45 条件 (80.4%),相互作用法の場合31 条件 (55.4%) であった.
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