重要な要点
1) 3D cross-directional bilateral filter(3D-CDBF)処理は心筋遅延造影CT におけるコーンビームアーチファクトを有意に改善する.
2) 心筋遅延造影CT を想定した3D-CDBF 処理は体軸方向の解像度を低下させるものの,スライス面内の解像度には大きな低下は認めない.
3) 3D-CDBF は画像ベースの処理であり,すべてのCT 画像で使用可能である.
要旨
【目的】Dual energy CT(DECT)から得られる低エネルギー仮想単色X 線画像(virtual monochromatic image:VMI)は造影効果が増強するが,コーンビームアーチファクトも同時に強調され心筋遅延造影CT(Late Iodine Enhancement:LIE)の臨床利用において課題となる.本研究の目的は3D cross-directional bilateral filtering (3D-CDBF)処理がコーンビームアーチファクトを改善させるか検討することである.
【方法】性能評価ファントムにコーンビームアーチファクトを再現し撮像した.取得したオリジナル画像と3D-CDBF 画像に対し,relative artifact index(AIr),スライス面内及び体軸方向の解像度を計測し比較検討した.
【結果】3D-CDBF 画像は,AIr を低下させコーンビームアーチファクトを顕著に改善した.また,スライス面内の解像度は3%程の低下,体軸方向の解像度は44%程の低下を認めた.
【結論】コーンビームアーチファクトを生じているLIE 画像において,3D-CDBF 処理は解像度を低下させるがコーンビームアーチファクトを有意に改善することが明らかになった.
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