日本CT技術学会雑誌
Online ISSN : 2434-2750
Print ISSN : 2434-2769
11 巻, 3 号
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原著
  • 望月 純二, 後藤 光範, 杉澤 浩一, 三澤 慎也, 市川 勝弘
    2023 年11 巻3 号 p. 1-
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/11
    ジャーナル フリー

    重要な要点

    1) 3D cross-directional bilateral filter(3D-CDBF)処理は心筋遅延造影CT におけるコーンビームアーチファクトを有意に改善する.

    2) 心筋遅延造影CT を想定した3D-CDBF 処理は体軸方向の解像度を低下させるものの,スライス面内の解像度には大きな低下は認めない.

    3) 3D-CDBF は画像ベースの処理であり,すべてのCT 画像で使用可能である.


    要旨

    【目的】Dual energy CT(DECT)から得られる低エネルギー仮想単色X 線画像(virtual monochromatic image:VMI)は造影効果が増強するが,コーンビームアーチファクトも同時に強調され心筋遅延造影CT(Late Iodine Enhancement:LIE)の臨床利用において課題となる.本研究の目的は3D cross-directional bilateral filtering (3D-CDBF)処理がコーンビームアーチファクトを改善させるか検討することである.

    【方法】性能評価ファントムにコーンビームアーチファクトを再現し撮像した.取得したオリジナル画像と3D-CDBF 画像に対し,relative artifact index(AIr),スライス面内及び体軸方向の解像度を計測し比較検討した.

    【結果】3D-CDBF 画像は,AIr を低下させコーンビームアーチファクトを顕著に改善した.また,スライス面内の解像度は3%程の低下,体軸方向の解像度は44%程の低下を認めた.

    【結論】コーンビームアーチファクトを生じているLIE 画像において,3D-CDBF 処理は解像度を低下させるがコーンビームアーチファクトを有意に改善することが明らかになった.

テクニカルノート
  • 細田 裕子, 丹羽 伸次, 原 孝則
    2023 年11 巻3 号 p. 5-
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/14
    ジャーナル フリー

    重要な要点

    ・X-CARE 使用による頭部CT 撮影時の介助者の被ばく線量の増加は認められない.

    ・X 線管の回転時間およびpitch factor は介助者の被ばく線量に大きな影響を与えない.


    要旨

    【目的】本研究の目的は,画質維持機構を有するorgan-based tube current modulation (OB-TCM) を用いた頭部computed tomography (CT) 撮影時における介助者の被ばく線量を評価することであった.

    【方法】CT 装置を用いて,volume computed tomography dose index (CTDIvol) は76.9 mGy 一定とし,X 線管の回転時間:1.0 および0.5 s,pitch factor:0.35, 0.45 および0.55 の条件下で,OB-TCM の有無で頭部ファントムを撮影した.介助者の被ばく線量の測定位置は水晶体,胸部および腹部に相当する高さを想定し,それぞれ床面から160, 130 および100 cm としてOB-TCM 有無による被ばく線量を比較評価した.

    【結果】OB-TCM 使用による各測定点の介助者の被ばく線量は,160 および130 cm において,不使用時から1.1–4.7% 減少した.100 cm の高さにおいて,OB-TCM 使用時の被ばく線量は,X 線管回転時間:1.0 s , pitch factor :0.55 において1.2 %減少,その他の撮影条件では不使用時とほぼ同程度の線量となった.また,介助者の被ばく線量はX 線管の回転時間およびpitch factor に大きく依存しなかった.

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