日本CT技術学会雑誌
Online ISSN : 2434-2750
Print ISSN : 2434-2769
10 巻, 3 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
テクニカルノート
  • 村松 駿, 三浦 夏美, 佐藤 和宏
    原稿種別: テクニカルノート
    2022 年10 巻3 号 p. 1-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/12/09
    ジャーナル フリー

    重要な要点

    ・低線量CTDIvol: 38 mGy の頭部CT にMBIR を適用することで,スライス厚5 mm の画像を,通常線量CTDIvol: 75 mGy と同等のCNR にすることが可能である.

    ・MBIR はHIR よりも画像ノイズの少ない画像が得られる.

    ・スライス厚1 mm の画像は,MBIR を適用しても通常線量の画像よりも画像ノイズが多い.


    要旨

    【目的】頭部単純computed tomography (CT)において,低線量撮影 (volume computed tomography dose index (CTDIvol): 38 mGy)に対してhybrid iterative reconstruction (HIR), およびmodel based iterative reconstruction (MBIR)再構成した画像と,通常線量 (75 mGy)に対してfiltered back projection (FBP)再構成した画像 (基準画像) の画質特性を比較し,MBIR の有用性を示す.

    【方法】白質および灰白質のCT 値とstandard deviation (SD)値をスライス厚5 mm と1 mm で計測して,コントラストとcontrastto-noise ratio (CNR)を算出した.

    【結果】5 mm 画像のCNR は,基準画像とMBIR が同等であった.1 mm 画像のCNR は,両群で基準画像よりも低かった.5 mm および1 mm 画像のコントラストは,両群で基準画像よりも高かった.

    【結語】低線量で撮影された画像にMBIR を適用することで,5 mm 画像を基準画像と同等のCNR にすることが可能であることを示した.MBIR を頭部CT に適用することで低線量撮影の可能性が示唆された.

  • 村松 駿, 芳賀 美祐, 佐藤 和宏
    原稿種別: テクニカルノート
    2022 年10 巻3 号 p. 6-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/12/15
    ジャーナル フリー

    重要な要点

    ・Organ Effective Modulation (OEM)とvariable Helical Pitch (vHP)を組み合わせたvHP-OEM 法を提案した.

    ・頭部ファントムを用い,vHP-OEM 法により水晶体被ばくが低減できることを実証した.

    ・vHP-OEM 法を臨床検査に適用し,水晶体被ばく低減の可能性が示された.


    要旨

    【目的】水晶体被ばく線量を低減するために,organ effective modulation (OEM)とvariable Helical Pitch (vHP)を組み合わせたvHP-OEM 法を提案し,臨床における有用性を実証することである.

    【方法】vHP-OEM 法を用いてX-Y modulation をon,off にし,OEM の切り替え位置(眼窩上縁)におけるz 軸方向の線量挙動および画質の変化を調査して比較した.z 軸方向の線量挙動は,管球角度位置が0 度で眼窩上縁から最も線量が低下する位置までの距離を求めた.画質は,眼窩上縁を0 mm とした際のcomputed tomography (CT)値およびstandard deviation (SD)値を脳実質の前方,中央,後方でそれぞれ± 20 mm 測定した.

    【結果】眼窩上縁から最も線量が低下する位置までの距離は,X-Y modulation off の方がon よりも短く,それぞれ10.1mm と13.9mm であった.眼窩上縁を境目として,OEM がon の領域では,前方側でCT 値は低下し,SD 値は上昇した.X-Y modulation on, off にしたCT 値およびSD 値は,前方,中央,後方でほぼ同じ値であった.

    【結語】vHP-OEM 法は,画質を維持したまま水晶体被ばく線量を低減することができた.X-Y modulation をoff に設定したvHP-OEM 法は,臨床検査に適用できる可能性がある.

  • 村松 駿, 佐藤 和宏
    原稿種別: テクニカルノート
    2022 年10 巻3 号 p. 11-
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/01/26
    ジャーナル フリー

    重要な要点

    ・肺動脈と下肢静脈の撮影において考案した造影剤注入法 (split bolus 法) は,それぞれの診断可能なCT 値を担保できる.

    ・Split bolus 法は,鎖骨下静脈,上大静脈に停滞する高濃度造影剤からのストリークアーチファクトが発生しない.

    ・Split bolus 法は,肺動脈と下肢静脈の検出のために臨床的に有用な造影剤注入法である.


    要旨

    【目的】肺動脈と下肢静脈の撮影を対象にした造影剤注入法 (split bolus 法) を提案し,診断可能なCT 値を担保しつつ,肺動脈の撮影においてストリークアーチファクトを抑制できることを従来のsingle bolus 法と比較して臨床的有用性を示すこと.

    【方法】single bolus 法とsplit bolus 法で肺動脈と下肢静脈を撮影した画像から,鎖骨下静脈,上大静脈,肺動脈,下肢静脈のCT 値を計測し,比較した.さらに,静脈路に存在する高濃度造影剤からのストリークアーチファクトを視覚評価した.

    【結果】肺動脈のCT 値は,single bolus 法,split bolus 法,それぞれ373.4 ±70.1 HU,300.3 ±41.7 HU であった.鎖骨下静脈および上大静脈のCT 値は,split bolus 法がsingle bolus 法より有意に低値を示した (P<0.01).下肢静脈のCT 値は,両群で80 HU 以上に造影されていた.視覚評価により,split bolus 法では全例でストリークアーチファクトが抑制されていることを確認した.

    【結語】split bolus 法は,single bolus 法と同等の造影効果であり,診断可能なCT 値を担保できていた.さらに,split bolus 法は鎖骨下静脈から上大静脈にかけてのストリークアーチファクトが抑制することができた.したがって,split bolus 法は肺動脈と下肢静脈の撮影において有用な造影剤注入法である.

feedback
Top