日本CT技術学会雑誌
Online ISSN : 2434-2750
Print ISSN : 2434-2769
12 巻, 3 号
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原著
  • 大橋 一也, 木寺 信夫, 河合 辰哉, 浦野 みすぎ, 樋渡 昭雄
    2024 年12 巻3 号 p. 1-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/09/02
    ジャーナル フリー

    重要な要点

    ・Photon-counting detector CT (PCD-CT)による乳腺造影CT を模擬したファントムにおいて,管電圧90 kVp,仮想単色レベル40 keV が最も高いdetectability index である.

    ・PCD-CT では管電圧90,120,140 kVp にて,仮想単色画像の単色レベルによるスライス面内の解像度の変化が少ない.

    ・PCD-CT では管電圧90 kVp においても,EID-CT の120 kVp 相当の画像を高い画質で再構成が可能である.


    要旨

    【目的】乳腺造影CT を模擬したファントムにおける,シーメンス社製Photon-counting detector CT (PCD-CT) NAEOTOM Alpha の管電圧および再構成条件の違いによる画質評価を行い最適な管電圧と単色レベルの組み合わせを明らかにすること.

    【方法】乳腺造影CT を模擬した自作の水等価直径約19 cm の水ファントム内に,直径30 mm,ヨード濃度2 mg/ml のヨードロッドを配置し,検出器配列144 x 0.4 mm のスタンダードモードにて管電圧を70, 90, 120, 140 kVp と変化させ,それぞれ仮想単色画像 (Monoenergetic images: MonoE) : 40,50,70 keV および全スペクトル画像 (Polyenergetic images: PolyE)を,逐次近似再構成であるQIR: quantum iterative reconstruction の強度2 で再構成し,task transfer function (TTF) , noise power spectrum (NPS) , detectability index (d') を測定した.

    【結果】d'は,管電圧90 kVp のMonoE 40 keV が最も高かった.また120 kVp のPolyE 画像に相当する 70 keV において,管電圧90,120 kVp ではそれぞれ,16.43,16.81 となり,d'の差は僅かであった.

    【結論】本研究によって,ヨード造影剤によるコントラスト増強を目的とした場合,管電圧90 kVp によるMonoE 40 keV 画像が最も高いdetectability index となり,被ばくと画質のバランスが取れた撮像パラメータであることが示された.

テクニカルノート
  • 原島 豊和, 村松 駿, 中田 翔太, 黒田 峰雪, 栗原 亜季
    2024 年12 巻3 号 p. 6-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/31
    ジャーナル フリー

    重要な要点

    ・ALPHA technology のoblique MPR 画像の作成時間は,マニュアル作成よりも約22 秒短縮した.

    ・ALPHA technology が作成したoblique MPR 画像の精度は,約92%が診断に有用な画像である.

    ・ALPHA technology によりoblique MPR 画像の作成ができなかった症例はなかった.


    要旨

    【目的】救急診療においてcomputed tomography (CT) 検査は,診断に有用な画像を迅速に提供する必要がある.自動画像認識技術 (Automatic Landmarking and Parsing of Human Anatomy (ALPHA) technology) は,CT 画像から解剖学的構造を識別し,自動でoblique multi planar reconstruction (MPR) 画像が作成可能な技術である.本研究は,ALPHA Technology を胸部大動脈の救急CT に臨床導入するために,マニュアル作業との画像作成時間および精度を比較し,有用性を明らかにすることである.

    【方法】対象は,胸部大動脈疾患で撮影された38 例である. 診療放射線技師4 名による大動脈弓部に沿ったoblique MPR 画像を作成する時間と,ALPHA Technology による作成時間を比較した.さらに,ALPHA Technology が作成したoblique MPR 画像の精度を診療放射線技師4 名で評価した.

    【結果】ALPHA Technology によるoblique MPR 画像の作成時間は,診療放射線技師による作成時間よりも約22 秒短縮した.ALPHA Technology が決定したoblique MPR 画像の精度は,約92%で診断に有用な画像であった.

    【結論】ALPHA Technology は,マニュアルによるoblique MPR 画像作成と比較して,作成時間を短縮しながらも精度が高い.したがって,救急診療において有用性がある.

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