出版研究
Online ISSN : 2434-1398
Print ISSN : 0385-3659
40 巻
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特集:現代の出版動向
巻頭言
出版動向
  • 山田 健太
    2009 年 40 巻 p. 3-44
    発行日: 2010/03/20
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー

    本稿は,グーグル・ブック検索訴訟を巡る問題を表現の自由の観点から論じたものである.グーグルが著者に無断でスキャニングしたデジタル書籍データを利用して,インターネット上での閲覧や購読配信をすることに対し,米国の作家・出版社が提訴をし,当事者間での和解がまとまった.しかしながら,グーグルのスキャニング行為は日本の著作権法上違法な行為であるほか,一私企業による情報・情報流通の独占による出版の多様性への悪影響などが考えられる.その根底には日米間の著作権法制や出版慣行の違いについての無理解や,表現行為に関わる企業としてのありようなど,多くの問題が伏在している.

  • 矢口 博之
    2009 年 40 巻 p. 45-62
    発行日: 2010/03/20
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー

    現在使用されている電子メディア,ペーパーメディア,読書端末について,大きさ,重さの観点から「モバイル」メディアの条件を割り出し,ホールの距離に基づく考察と読書端末の普及可能性を検討する.また読書端末の世代ごとの特性を踏まえ,表示能力や操作性の点から書籍・雑誌を代替できるのか,特に教科書としての利用は可能であるかについて議論する.

  • ―箕輪出版学のルーツ
    下村 昭夫
    2009 年 40 巻 p. 63-74
    発行日: 2010/03/20
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー

    現代の出版動向に関する特集にあたって,「出版に関する本」のレビューを依頼された.本稿では,Herbert S. Bailey, Jr. 氏の『The Art and Science of Book Publishing』を再評価し,それに代えたい.原書は,1970年にHarper & Row 社から刊行.日本語版は1976年に箕輪成男氏によって翻訳され『出版経営入門―その合理性と非合理性』として出版同人から刊行された.

    本書を翻訳した箕輪成男氏は,近年,壮大な出版史に挑み,4冊の本を刊行された.円熟期に達したとされる“箕輪出版学”のルーツこそ本書『出版経営入門―その合理性と非合理性』だと思い,ここに古典的名著をレビューすることにする.

論文
  • ―天才についての言及に焦点を当てて
    後藤 嘉宏
    2009 年 40 巻 p. 75-97
    発行日: 2010/03/20
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー

    山田宗睦は三木清の理論と編集者的活動とを繋ぐ言葉として構想的知性という言葉を編み出した.この構想的知性は他者を媒介する力であると考えられ,本稿では三木における他者の個性の媒介的役割とは何かを考察した.具体的には三木『構想力の論理』と『哲学ノート』の間で矛盾する,天才に対する記述を検討した.この矛盾を検討する中で,この矛盾の中にプロの編集者でない編著者としての三木自身の立ち位置が示されていると考えるに至った.

研究ノート
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