本稿は,ベルトランが提示した「メディア・アカウンタビリティ・システム」 (MAS) の枠組みを使い,日本の出版界のアカウンタビリティー対応の特徴を明らかにすることが目的である.日本の出版のMASは,猥褻問題への対応や,名誉毀損の損害賠償額の高騰などを背景に取り組まれた.『僕はパパを殺すことに決めた』事件をめぐる議論では,「第三者機関」の性格や役割などが明確化されずに議論されてきたことが見て取れた.
戦時のラジオ番組「国民学校放送」のテキストの分析を通して,戦時の学校放送の放送内容や授業での利用のされ方,及び当時の放送・教育政策との関連性を明らかにするとともに,番組の創始者・西本三十二がアメリカ留学で培った教育思想が「国民学校放送」に及ぼした影響についても考察する.
本稿は,集英社が刊行する雑誌『明星』の60余年の歩みを,①黎明期:大衆娯楽誌②黄金期:アイドル誌③転換期:「ジャニーズ」専門誌という三つに区分し紐解くものである.特に,70年代までに日本に到来した戦後の大衆社会と,80年代以降の雑誌の細分化に見られるその解体のプロセスを,一つの雑誌のなかで体現しているという意味において重要な媒体として『明星』を位置づけ論じる.
本報告では,黎明期の女子体育の思想がどのように形成されたのかについて,『女学雑誌』の言説分析から明らかにする.当初,体育は女子には不必要なものとされていた.しかし,「母になるべき身体」を持つ女子の体育は国家的責務であるとする考えが次第に強くなった.時代が進むと,日本の女子に相応しい体育は西洋式の舞踏や体操ではなく,薙刀など日本古来の武道であるとされ,身体よりも心の修養が強調されるようになった.
オンデマンド出版とは,オンデマンド印刷という技法を用いて読者から購入の要求があり次第印刷出版するという出版技法であり,少部数注文出版を可能とした.2000年以後さまざまな試みがなされてきているが,出版においては印刷費よりも,編集費・組版費など部数に依存しない費用が多いため,あまり成功はしていない.ただし,オンデマンド印刷の品質の向上と,独自市場の開拓により今後の発展が期待される.
すでにアカウントをお持ちの場合 サインインはこちら