睡眠と環境
Online ISSN : 2758-8890
Print ISSN : 1340-8275
10.11 巻, 1 号
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原著論文
  • 梅田 果林, 高垣 大地, 渡邉 真也, 浜口 佳奈子, 古嶋 大詩, 佐藤 幸治, 栗原 俊之, 家光 素行, 浜岡 隆文, 真田 樹義
    2015 年 10.11 巻 1 号 p. 5-14
    発行日: 2015/12/01
    公開日: 2023/09/01
    ジャーナル フリー
    これまでのところ,睡眠時間とメタボリックシンドロームとの関連性に関する先行研究は数多く認められるが,メタボリックシンドロームリスク因子に対する睡眠時間と加齢の交互作用について検討した報告は認められない.そこで本研究では,日本人若年及び中高齢女性34名を対象に,睡眠時間及び座位活動時間とメタボリックシンドロームリスク因子との関連における加齢の影響について横断的に検討することを目的とした.座位活動は3軸加速度計を用いて,睡眠時間は質問紙法により評価した.メタボリックシンドロームリスク因子は,血液サンプルおよび血圧,体組成より評価した.座位活動時間が平均値(若年者244.3分,中高齢者99.2分)以上の被験者を座位活動時間長群,平均値未満の被験者を座位活動時間短群とした.さらに,睡眠時間が平均値(若年者397.4分,中高齢者465.3分)以上の被験者を長睡眠時間群,平均値未満の被験者を短睡眠時間群と定めた.座位活動時間と睡眠時間との間には若年者及び,中高齢女性ともに有意な相関が認められた.二元配置分散分析の結果,座位活動時間と年齢との間には,いずれの項目においても有意な交互作用は認められなかった.しかし,睡眠時間(長・短の2水準)と加齢(若年・中高齢の2水準)との間には,体脂肪率及び動脈硬化指数の2要因において有意な交互作用が認められた.また,睡眠時間の主効果に有意性は認められなかったが,年齢の主効果は体脂肪率においてのみ有意性が認められた.長睡眠時間群では,体脂肪率は加齢により有意に増加したが,短睡眠時間群では加齢による有意な差は認められなかった.また動脈硬化指数においても,長睡眠時間群は短睡眠時間群と比較し,加齢による増加が認められた.これらの結果から,睡眠時間とメタボリックシンドロームリスク因子との関係を検討する場合は,加齢の影響を考慮する必要があると考えられる.
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