睡眠と環境
Online ISSN : 2758-8890
Print ISSN : 1340-8275
12 巻, 1 号
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原著論文
  • 八田 和洋, 野口 公喜, 小山 恵美
    2017 年 12 巻 1 号 p. 3-12
    発行日: 2017/07/31
    公開日: 2023/09/01
    ジャーナル フリー
    本研究では,起床前漸増光照射における被験者が受光する光量と起床前の睡眠状態とに着目し,それらが起床時の眠気におよぼす影響について,20名の若年成人男性を被験者とし終夜睡眠実験を実施し検証した.評価項目はPSGによる睡眠ステージと起床時睡眠調査票OSAによる起床時の眠気とし,起床前漸増光照射の受光量は1秒毎の寝姿勢から推算した.起床設定時刻30分前から漸増光を照射する条件と照射のない条件の2条件を比較した.その結果,起床前の漸増光受光量が多い群では,照射なし条件と比較して,照射あり条件はOSAⅠ起床時眠気スコアが有意に高く眠気が低減する傾向にあるが,照射量の少ない群では条件間に有意差はみられなかった.  また,起床前の睡眠状態がNREM睡眠の群では,照射なし条件と比較してOSAⅠ起床時眠気スコアに有意差がみられ,照射あり条件の眠気が低減されるが,REM睡眠Phasic期から起床した群では,条件間に有意差はみられなかった.REM睡眠Phasic期から起床した被験者を除くと,漸増光受光量とOSAⅠ起床時眠気スコアとの間に有意な正の中程度の相関関係がみられ,受光量が多いほどOSAⅠ起床時眠気スコアが高く,眠気が減ることが示された.以上のことから,起床時の眠気を低減させるためには,十分な起床前の漸増光受光に加えREM睡眠Phasic期ではない睡眠状態から起床することが必要であると考えられる.
  • - 入眠状態とレム睡眠の比較 -
    広重 佳治
    2017 年 12 巻 1 号 p. 14-26
    発行日: 2017/07/31
    公開日: 2023/09/01
    ジャーナル フリー
    本研究は,睡眠時の眼球運動の多様性を評価するために,標準的睡眠ポリグラフィに基づいた22夜の眼電図記録に移動式直線回帰分析を適用し,入眠状態とレム睡眠における眼球運動を自動計測した。  特徴抽出パラメータの分析により,眼球運動をREMsとSEMsに分ける伝統的な2分法は十分でなく,REMsとSEMsの物理特性を部分的にもつ中間型の眼球運動IMEsの追加が必要であることが判明した。IMEsは粗大眼球運動GEMsと立ち上りが鋭角なSEMsから構成された。これら多様な眼球運動は共通してみられたが,入眠状態とレム睡眠によってその現れ方は異なった。入眠状態ではSEMs優位であったが,SEMsとREMsはともに時間の関数として減少した。レム睡眠ではREMsの群発期が1つ2つ生じるが,SEMsはREMs群発と非群発にかかわらず持続的に出現した。  以上の結果は,入眠状態とレム睡眠中に眼球運動の多様性が共通して生じ,睡眠状態によってその現れ方が異なることを裏づけているのであろう。睡眠時眼球運動の発現機序および眼球運動と夢見の視覚心像の関係について考察した。
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